zzzzz

最新記事

日韓関係

衰える日本の自動車産業...日韓接近を促した「世界最大の自動車輸出大国」中国の電気自動車

The China Factor

2023年6月6日(火)12時40分
コーリー・リー・ベル、エレナ・コリンソン、施訓鵬(シー・シュンポン)(いずれもシドニー工科大学・豪中関係研究所)

このことは、日本および韓国とアメリカとの同盟関係を緊密にするだろう。アメリカは同盟国に新たな貿易機会を提供するような弾力的なサプライチェーンを整備する「フレンド・ショアリング」などの措置を推し進めており、中国の技術開発を封じるために、先進国の間でより広い戦線を築こうとしている。

中国との2国間関係の悪化は、経済競争が主に政治的な競争になる転換点や、主要産業の衰退が国力や国際的な影響力に重大な影響を及ぼす恐れがある場合について、新たな議論を喚起する。

日本、韓国、中国は、国際社会における技術開発、国力、主体性の関係について、他の地域と比べて似たような考えを共有している。それが高度に並列化され、相互に競争力のある経済の発展を促し、保護してきた。これは、主に歴史的、民族的、領土的な対立に起因すると考えられてきた地域の頻繁な緊張の根底にありながら、あまり論じられてこなかった要素かもしれない。

その意味で、これらの国々の敵対関係の影響は、さらに広がりそうだ。実際、EV分野の競争の激化に伴い、バッテリーや、その生産に必要なリチウムなどの重要鉱物が安全保障問題になる傾向が高まっている。

カナダは昨年11月、中国企業3社にカナダ国内のリチウム鉱山企業の株式を売却するように命じた。アメリカで昨年成立したインフレ抑制法はEVメーカーに対し、電池に含まれる重要鉱物の40%を友好国から調達することを求めている。

リチウムの大半を中国に輸出しているオーストラリアは特にこの法律の恩恵を受けるとみられ、日本と韓国で製造されるEV用バッテリーに使われるリチウムや水素などの重要鉱物への関心も高まっている。

オーストラリア政府は、自国の「重要鉱物が、信頼できる地域の友好国や同盟国の安全保障に果たす役割」を認識する必要性を強調している。彼らの貿易問題もまた、地政学的な配慮という厳しい現実と自由な世界貿易の原則が、ポスト・アメリカ中心主義の世界秩序の中でどのように共存を目指していくか、という答えを待っているのかもしれない。

From thediplomat.com

20240604issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年6月4日号(5月28日発売)は「イラン大統領墜落死の衝撃」特集。強硬派ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える グレン・カール(元CIA工作員)

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾との平和的統一の見通し悪化、独立「断固阻止」と

ワールド

北朝鮮、韓国に向け新たに600個のごみ風船=韓国

ワールド

OPECプラス、2日会合はリヤドで一部対面開催か=

ワールド

アングル:デモやめ政界へ、欧州議会目指すグレタ世代
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...すごすぎる日焼けあとが「痛そう」「ひどい」と話題に

  • 4

    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…

  • 5

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 6

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 7

    ロシアT-90戦車を大破させたウクライナ軍ドローン「…

  • 8

    1日のうち「立つ」と「座る」どっちが多いと健康的?…

  • 9

    米女性の「日焼け」の形に、米ネットユーザーが大騒…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 7

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 8

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 9

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中