最新記事
ウクライナ情勢

ロシア、ウクライナ軍の飛行場施設など攻撃 自国領内への砲撃も主張

2023年5月30日(火)10時51分
ロイター
キーウのビル群に立ち上る煙

ロシアは、ウクライナの空軍施設を夜間に攻撃したと発表する一方、ロシア国内の産業施設がウクライナ側の砲撃を受けたと明らかにした。写真は同日、キーウのソロに立ち上る煙(2023年 ロイター/Gleb Garanich)

ロシアは29日、ウクライナの空軍施設を夜間に攻撃したと発表する一方、ロシア国内の産業施設がウクライナ側の砲撃を受けたと明らかにした。ウクライナによる大規模な反転攻勢を前に双方が優位に立とうとしている。

ウクライナ当局は、西部フメリニツキー州の軍事「標的」がロシアの攻撃を受け、滑走路の修復を進めているほか、航空機5機が使用不能になったと明らかにした。具体的な場所は示さなかったが、この地域にはロシア侵攻前から大規模な軍の飛行場がある。

ロシア国営通信社RIAは国防省の情報として、攻撃した空軍施設は複数と報じた。ウクライナは他の空軍施設での被害について明らかにしていない。

首都キーウ(キエフ)は今月16回目となる攻撃を受けたが、当局者によると、夜間に飛来したドローン(無人機)やミサイルは大部分を迎撃し、午前の攻撃でミサイルなどが着弾した標的はないという。

東部ドネツク州のキリレンコ知事は、同州トレツクに対する攻撃で2人が死亡し8人が負傷したと明らかにした。

黒海に面した南部オデーサ(オデッサ)も夜間に無人機攻撃を受けた。ウクライナ軍は、この攻撃で火災が発生し港湾インフラに被害が出たとしたが、穀物輸出への影響については明らかにしていない。

一方、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州のグラトコフ知事は国境付近の一部集落がウクライナ軍の砲撃を同時に受けたと述べた。国境の町の2つの産業施設が砲撃を受け、従業員4人が負傷したという。

ウクライナ東部軍の報道官は現地テレビに対し、管轄地域で過去24時間に軍の衝突が3件あったと述べた。また、バフムトでロシアの空挺部隊などが民間軍事会社ワグネルの部隊と交代しつつあると指摘した。

「非武装地帯設置を」

こうした中、ウクライナ大統領の外交顧問を務めるイーゴリ・ゾフクバ氏はロイターのインタビューで、ウクライナが考える和平計画が戦争を終わらせる唯一の方法だと述べ、調停努力の時期は過ぎたとの認識を示した。

ここ数カ月の間に中国、ブラジル、バチカン、南アフリカから相次いで提案された和平構想についても否定的な見解を示した。

また、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、戦後処理の一環としてウクライナ国境沿いのロシア国内に100─120キロの非武装地帯を設置すべきと述べた。

欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は、ロシアがウクライナでの戦争で勝利を目指す間は交渉に応じないとの見方を示した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、米の攻撃「正当性なし」 イラン外相と会

ワールド

イランのフォルドゥ核施設、「非常に重大な」損害予想

ワールド

米国によるイラン攻撃で航空網混乱、GPS妨害急増

ビジネス

ヘッジファンドのレバレッジ、5年ぶり高水準=ゴール
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中