最新記事
ロシア

モスクワ市内で「謎の赤いバツ印」の発見が相次ぐ...「ドローン攻撃の目印?」「いたずら?」

Mysterious Red Crosses Appearing on Moscow Streets: Ukrainian Media

2023年5月13日(土)13時17分
ブレンダン・コール
夜のモスクワ市内

Salameh dibaei-Reuters

<クレムリンへのドローン攻撃の真相は不明だが、ウクライナがロシア国内に攻撃を仕掛けるのではないかという不安は市民の間で高まっている>

ロシアの首都モスクワのあちらこちらで、道路上などに描かれた「謎の赤いバツ印」が相次いで見つかり、人々の関心を集めている。SNSなどでは、このバツ印が何を意味するのかについて憶測が飛び交い、市民が不安を感じている様子をうかがわせている。

■【写真】「攻撃の標的?」「いたずら?」 憶測を呼ぶモスクワ市内の「謎の赤いバツ印」

モスクワにある赤の広場では5月9日、旧ソ連が1945年にナチスドイツに勝利したことを祝う戦勝記念日のパレードが行われた。それに先立って発見されたバツ印をめぐっては、ウクライナが戦勝記念日にモスクワに攻撃を仕掛ける計画があるのではないか、ドローンやミサイルによる攻撃の標的として印が付けられているのではないかなど、いくつかの憶測も浮上した。

ウクライナ人ジャーナリストのアンドリー・ツァプリエンコは5月8日にメッセージアプリ「テレグラム」の自身のチャンネルに「モスクワ各地に赤いバツ印が出現し、みんなが大騒ぎしている」と書き込み、バツ印はロシア国民の注目を集める目的のいたずらである可能性もあると示唆した。

「人々はこのバツ印が、5月9日に実行される空爆のための目印かもしれないと恐れているようだ」

「バツ印」情報の多くはウクライナが発信源

とはいえ、バツ印についての報告は、ウクライナ人のジャーナリストなどによってもたらされるケースが大半を占める。第三者機関による確認や、写真の検証も行われていない。ロシアの政府や国営メディアはこれまでのところ、一連の報道についてコメントしていない。

ウクライナのロシア語メディアである「Online.UA」は、ロシアのいくつかの都市では計画されていたパレードが安全保障上の懸念から中止になったと報じた。さらに同メディアは「国防省の建物の近くにある赤いバツ印」の写真を掲載し、「こうした印は、ミサイルやUVA(無人航空機)による攻撃が行われる場所を示している可能性がある」と記した。

報道機関「Trukha」はテレグラムの公式ページで「ミサイルまたはUVA攻撃用の印がモスクワの通りに出現」と報じ、「5月9日を控えてお祭り気分が高まっているようだ」と続けて、笑顔の絵文字を添えた。

ウクライナ側がロシア国内に不安や混乱をもたらそうとしているのか──バツ印を描いたものの意図は不明だが、戦争が始まった当初には、逆にウクライナ国内の建物や道路にバツ印や丸い印が付けられていたという指摘もある。これについては、破壊工作者たちがロシア軍のために標的を区別する目的で付けた印だったとも言われる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

川崎重社長、防衛事業の売上高見通し上振れ 高市政権

ワールド

インド中銀総裁「低金利は長期間続く」=FT

ビジネス

シャドーバンキング、世界金融資産の51% 従来型の

ワールド

ロシア財政赤字、2042年まで続く見通し=長期予測
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中