最新記事
ウクライナ情勢

ロシア民間軍事会社ワグネル、10日にバフムト戦線離脱か 創設者プリゴジン「弾薬なければ滅びる運命」

2023年5月5日(金)22時42分
ロイター
ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン

ロシア民間軍事会社ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏は5日、10日に部隊をウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトから撤退させると表明した。4月撮影(2023年 ロイター/Yulia Morozova)

ロシア民間軍事会社ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏は5日、10日に部隊をウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトから撤退させると表明した。

プリゴジン氏は軍参謀総長、国防省、最高司令官であるプーチン大統領に宛てた書面の声明で「撤退するのは、弾薬がなければ無意味に滅びる運命にあるからだ」と述べた。

撤退は、ロシアの対独戦勝記念日の翌日というタイミングでプーチン大統領にとっては打撃となる。ロシア大統領府は、声明について、ウクライナでの「特別軍事作戦」に関わるとして、コメントを差し控えた。

ワグネルはロシアのバフムト攻略を先導する形で戦い、3週間前にはバフムトの80%以上を制圧したと主張していた。

しかしウクライナ軍も激しく抵抗、ワグネルはロシア政府の支援を得られず消耗し、プリゴジン氏はプーチン政権に対する不満を募らせた。

プリゴジン氏は声明で「弾薬が不足しているため、われわれの損失は毎日飛躍的に増加している」とし、声明に添付された動画で「配下の若者たちは弾薬のないバフムトで無駄で不当な損失を被るわけにはいかない」と述べた。

弾薬はどこだ!

5日、声明とは別に投稿された動画で、プリゴジン氏は、ワグネルの戦闘員とする数十人の遺体の中に立ち、「弾薬が70%不足している。ショイグ(国防相)! ゲラシモフ(参謀総長)! 弾薬はどこだ」と声を張り上げた。

プリゴジン氏は声明で、ゲラシモフ参謀総長に対し、バフムトのワグネル部隊を正規軍に置き換え、その時期を明示するよう求めた。

撤退については非難を覚悟しているとした。また再び戻るとも約束。「傷を癒し、祖国が危険にさらされたとき、祖国を守るために再び立ち上がるだろう」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:富の世襲続くイタリア、低い相続税が「特権

ワールド

アングル:石炭依存の東南アジア、長期電力購入契約が

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 7
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中