最新記事
注目ニュースを動画で解説

BTSメンバーの入隊を「最強兵器」にする韓国軍がかつての米軍に学ぶべきこと【注目ニュースを動画で解説】

2023年4月26日(水)19時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
BTSメンバーの韓国軍入隊

Newsweek Japan-YouTube(BTS:Silvia Elizabeth Pangaro-shutterstock)

<国民からの不信感が募る韓国軍は、世界的ポップスターの力を借りて現状を変えられるのか。過去の米軍との類似点を解説した動画から一部を抜粋して紹介する>

世界的に活躍するKポップグループ「BTS」の所属事務所は昨秋、メンバーが順次兵役に就くことを発表した。韓国軍は彼らの入隊を機に、悪名高い徴兵のイメージを和らげるような広報活動を展開している。

スターの入隊によって軍がイメージ改善を図ることはアメリカでも過去にあった。この戦略の恩恵と限界を解説する。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「BTSは不信募る韓国軍変革の「切り札」に?メンバー入隊による恩恵と限界【アニメで解説】」の内容を一部抜粋して紹介する。

◇ ◇ ◇

改革が進み、十分な報酬が支払われ、技術的に熟練した兵士で構成される軍隊が増大する国家安全保障の役割を引き受ける──これをアピールすることが韓国軍の狙いだ。

昨年12月に最年長のJIN、続いて今月J-HOPEが入隊したBTSは、そのPR活動の格好の担い手と言える。

nwyt0426_3.jpg

Newsweek Japan-YouTube(BTS:Silvia Elizabeth Pangaro-shutterstock)

韓国軍とBTSの関係は、米軍とエルビス・プレスリーとのケースに重ねられる。

プレスリーもBTSと同じく人気絶頂期にアメリカ陸軍に徴兵されている。当時の陸軍は、朝鮮戦争の失態や平時の徴兵制の不評といった問題を抱えていた。プレスリーの入隊には「特権的なセレブは徴兵を擦り抜けられるのでは?」という人々の疑いを跳ねのける狙いも。

プレスリーといえば、それまで若者の不服従の象徴で保守派の批判の的でもあった。その彼が2年間の軍隊生活で「道徳的に真っすぐな若い兵士」の風貌になり、陸軍は評判を高めることに成功した。

nwyt0426_2.jpg

Newsweek Japan-YouTube

韓国軍には根深い虐待文化があり、過酷ないじめで兵士が自殺する事件も相次いでいる。そんななか、裕福な男性には兵役を免れる手段があることも徴兵制に対する長年の批判の一つだ。

もしもBTSのメンバーが兵役を果たさなければ、立場を利用して国民の義務を回避したとして国内で批判されたかもしれない。また、彼らの入隊とソーシャルメディアへの投稿は軍の有害な文化を追放し、問題を是正する意欲があることをアピールするチャンスとなるだろう。

nwyt0426_4.jpg

Newsweek Japan-YouTube

とはいえ、韓国軍はプレスリーと米軍の経験から学ばなければならない。

プレスリーは除隊後、凡庸な(興行的には成功した)ハリウッド映画への出演が続いた。42歳で亡くなったが、ジョン・レノンはプレスリーについて「軍隊に入ったとき死んだ」と語った。陸軍の方もベトナム戦争の泥沼に陥り、PRは無に帰した。

nwyt0426_5.jpg

Newsweek Japan-YouTube(BTS:Silvia Elizabeth Pangaro-shutterstock)

■詳しくは動画をご覧ください。

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

タイ財務省、今年の経済成長率予想を2.2%に小幅上

ビジネス

中国製造業PMI、7月は49.3に低下 4カ月連続

ワールド

米、カンボジア・タイと貿易協定締結 ラトニック商務

ワールド

交渉未妥結の国に高関税、トランプ氏が31日に大統領
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 4
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 5
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 10
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中