最新記事
プーチン

またロシア大物「不審死」...39人目は、英ヘンリー王子夫妻が住む豪邸の元所有者

2023年3月19日(日)19時40分
ダニエル・オング
ウラジーミル・プーチン大統領

ウラジーミル・プーチン大統領(2022年5月) Sputnik/Mikhail Metzel/Pool via REUTERS

<プーチンによる暗殺の指令があるのではないか、との疑いが強まる。大統領とっては「不審であること」に意味があるという>

2022年2月にウクライナへの侵攻を開始してからというもの、ロシアではすでに39人の政府関係者や大物とされる人物が死亡しており、3月だけでも2人が謎の死を遂げた。そのうちの1人、金融詐欺師でオリガルヒのセルゲイ・グリシン(56)は3月6日、モスクワで敗血症のため死去。彼は英国のヘンリー王子夫妻に、米カリフォルニア州の9ベッドルームの豪邸を売ったとされる人物だ。

■【写真】グリシンがヘンリーとメーガン夫妻に売却したとされる米カリフォルニア州の大豪邸

連続するこうした「不審な死」については、ウラジーミル・プーチン大統領が問題のある人物を暗殺しているのではないか、との可能性が指摘されている。グリシンも、プーチンによるウクライナ侵攻を批判していたことで知られる。

3月1日には、ロシアのCOVID-19ワクチン「スプートニクV」の開発に携わったウイルス学者のアンドレイ・ボチコフが、29歳の男性と口論中に、ベルトで首を絞められて死亡した。ロシア連邦捜査委員会がテレグラムで行った説明によれば、ボチコフの遺体が発見された直後に、容疑者は逮捕された。

動員担当者、不動産王、国防当局者...

2022年2月以降に起きた「謎の死」はほかにも多数ある。2022年10月14日には、国民の動員を担当していたロマン・マリクが、「フェンス」から首をつって死亡しているところを発見された。ロシアの不動産王ドミトリー・ゼレノフは、フランスで階段から転落した。

動員責任者を務めていたバディム・ボイコ大佐は、遺体に5発の銃弾を受けた跡があったにもかかわらず自殺とされた。ロシアの国防当局者マリナ・ヤンキナは、アパートの16階にある自宅から真っ逆さまに落ちた。

専門家のジョン・オニールはニューヨーク・ポストの取材に対し、これらの死とプーチンを結び付ける証拠はまだ見つかっていないが、プーチンはこうした状態が続くことを望んでいるように思えると述べている。

「プーチンは、直接人を殺したいとは考えていない。そうすれば、世界中でさらし者になるためだ。彼は、人々が自殺や珍しい病気で死んだように見えることを望んでいる。プーチンは、疑問の残るかたちで人を殺したいと考えている」とオニールは説明する。「同時に、これらの人々が『殺された』ということは、ロシアの全員が知っている。このような死によって、プーチンの関係者にメッセージを送っているのだ。従い続けた方が賢明だ、と」

オニールはまた連続する不審死について、現在、ロシアがウクライナ戦争で直面している「失敗」がかかわっている可能性が高いと分析している。
(翻訳:ガリレオ)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中印ブラジル「ロシアと取引継続なら大打撃」、NAT

ビジネス

NY外為市場=ドル急伸し148円台後半、4月以来の

ビジネス

米金利変更急がず、関税の影響は限定的な可能性=ボス

ワールド

トランプ氏「ウクライナはモスクワ攻撃すべきでない」
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中