最新記事

ロシア

ロシアの自律型戦闘ロボット「Marker」実戦配備へ

Russian "Marker" combat robots to be sent to Ukraine, official reveals

2023年1月17日(火)19時28分
エリー・クック

極東のボストチヌイ宇宙基地を視察する3人の盟友(前列左から)ロシアのプーチン大統領、ベラルーシのルカシェンコ大統領、ロスコスモス社長(当時)のロゴジン(2022年4月12日) Sputnik/Mikhail Klimentyev/Kremlin/REUTERS

<国営宇宙企業ロスコスモスの社長を辞め、今はウクライナ東部親ロ派の軍事顧問を務めるプーチンの盟友ロゴジンが、これでウクライナに「炎の洗礼」を浴びせると宣言>

ロシアの国営メディアは1月15日、ロシアが開発した戦闘ロボット「Marker(マーカー)」がウクライナの前線に配備される予定だと報じた。

ロシアの国営宇宙企業ロスコスモス前社長で現在はロシアに「編入」されたドネツクとルガンスク両「人民共和国」の特別軍事顧問団「ツァーリ(ロシア皇帝)の狼」の会長であるドミトリー・ロゴジンは、メッセージアプリ「テレグラム」の自身のアカウント上で、自律型戦車の「Marker」がウクライナ東部のドンバス地方に「炎の洗礼」を浴びせることになると明かした。

ロシア国営タス通信によれば、「Marker」は「自律的に」戦闘任務を遂行することができ、約15キロ先にある標的を特定することができるとロゴジンは説明。戦闘地域で敵の正確な位置を特定し、攻撃を行うことができると投稿した。

タス通信は、今後「数台の」Markerがウクライナ東部に配備される予定で、それに先立ちロシア国内にあるボストチヌイ宇宙基地で試験が行われていると報じた。

ロシア政府の研究開発機関「高等研究財団」の責任者であるオレグ・マルチャノフは、開発担当者たちが「既に『Marker』にはスポーツ銃の撃ち方だけでなく、カラシニコフ機関銃を使って、空中を動く円盤型の標的を人間よりも素早く撃つことを教えている」と述べた。

自律型の輸送車としても機能

マルチャノフはさらに、「Marker」は民間人と軍事要員を識別して「直接的な脅威」をもたらす相手だけを標的にすることができるとつけ加えた。

ロシアの国営通信社「RIAノーボスチ」は11日、戦闘ロボット「Marker」に関する作業は既に完了していると報じた。この報道によれば、「Marker」は重さ約3トンで、さまざまな兵器システムを搭載することが可能だ。

RIAノーボスチは「Marker」について、「ロシア国内で最先端の自律走行スキルを持ち、人工知能(AI)技術に基づく物体認識機能を備えている」と称賛した。同通信社は2021年11月、「Marker」が自律型の「輸送車」としてアップグレードされ、戦場から負傷兵を安全な場所に退避させる機能も装備されていると報じていた。

その少し前にはタス通信が、「Marker」は将来「電子パルス」や「自爆型ドローン」を使って、無人航空機(UAV)に対抗することができるようになると報じていた。タス通信は製造元の「アンドロイド・テクニクス」のプレスリリースを引用し、「Marker」は不正なドローンや要員、車両を検知することができると伝えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=

ビジネス

GM、通期利益予想引き下げ 関税の影響最大50億ド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中