最新記事

ロシア

ロシア空軍基地に閃光と轟音──ウクライナのドローン攻撃?

Video shows drone strike on Russian base that crippled 2 nuclear bombers

2022年12月6日(火)15時59分
ゾーエ・ストロズースキ

ロシア国防省が公開したTU95とみられる爆撃機 Russian Defence Ministry/REUTERS

<ロシアは「軽い損傷」というが、核兵器搭載可能な戦略爆撃機2機が破壊された、との報道も>

ロシアの空軍基地がドローン攻撃を受けた様子とみられる動画が、インターネット上に出回っている。この攻撃により、核爆弾を搭載可能なロシアの軍用機2機が破壊されたと報じられており、問題の動画はその破壊の瞬間を撮影したものとされる。

ロシア国内の2つの空軍基地――モスクワの南東に位置するリャザン市の空軍基地と中部サラトフ州にある空軍基地――で爆発が報告されたのは12月5日。米政府系ラジオの自由欧州放送によれば、爆発があったサラトフ州のエンゲリス空軍基地はウクライナから約600キロメートルのところに位置しており、ベラルーシの報道機関「ネクスタ」が5日にツイッター上で共有した動画は、その爆発の瞬間を捉えたものとされている。

【動画】謎の大爆発、ウクライナがロシア空軍基地を攻撃か

動画は監視カメラで撮影されたものとみられる。冒頭部分には駐車スペースに数台の車が停まっている様子だけが映っているが、その後、遠くに一瞬大きな強い光が見える。

ネクスタは、この閃光はドローン攻撃によって引き起こされたもので、この攻撃で2機の戦略爆撃機TU95が破壊されたと報じた。「ベア(熊)」の異名を持つTU-95は、核兵器などの爆発物を搭載して長距離を飛行することができる戦略爆撃機だ。

攻撃はウクライナの仕業?

ロシアの独立系メディア「アストラ」もメッセージアプリ「テレグラム」のチャンネルで、匿名の情報源から得た情報として、エンゲリス空軍基地での爆発はドローン攻撃によって引き起こされたものであり、これによって2機のTU-95戦略爆撃機が破壊されたと報道。さらにロシア軍の兵士2人が爆発で負傷し、病院に搬送されたと報じた。

ネクスタが共有した動画には12月5日の日付が入っていたが、本誌はこの動画の信ぴょう性を独自に確認することはできなかった。また動画の内容や、攻撃がドローンによるものだったこと、2機のTU-95が破壊されたことについて、ロシア国防省に確認を求めたが、返答はなかった。

ウクライナは2件の爆発について、直接的に認める声明は出さなかったが、ウクライナのある政府高官が爆発の発生後、ソーシャルメディアにロシアをあざ笑うような投稿を行った。

ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問はツイッターに、「ガリレオが発見したように、地球は丸い。だがロシア政府は天文学を勉強しなかったようだ」と投稿し、さらにこう続けた。「天文学を勉強していれば、分かったはずだ。ほかの国の領空に何かを発射すれば、いずれそれが発射地点に戻ってくるということを」

本誌はウクライナ国防省に、2件の爆発との関連があるかどうかについてコメントを求めた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産とマツダ、中国向け新モデル公開 巻き返しへ

ビジネス

トヨタ、中国でテンセントと提携 若者にアピール

ワールド

焦点:「トランプ2.0」に備えよ、同盟各国が陰に陽

ビジネス

午後3時のドルは一時155.74円、34年ぶり高値
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中