最新記事

ロシア

野良犬を自爆犬にしてウクライナに送る案がロシアで却下された残念な理由

Russian Official Wanted to Use Dogs as Suicide Bombers in Ukraine: Report

2022年12月5日(月)18時38分
アンナ・コマンダー

(写真はイメージです) Valeriy Volkonskiy-iStock.

<こんな提案が真面目に審議されるのは、ロシアがいよいよ詰められている証拠かもしれない>

ロシアでは野良犬が多くて問題になっているが、モスクワの南南西にあるオリョール市の共産党議員ビクトル・マカロフは格好の解決策を考え付いた。彼は、ウクライナで「戦車を爆破する」ために、野良犬に自爆攻撃を仕掛けさせることを提案した。地方紙オレル・タイムズは12月2日に報じた。

ロシアの独立系ニュースメディア「メデューサ」の編集長ケビン・ロスロックは、最近の立法議会でマカロフが提案したこのアイデアに注意を引かれ、翌日にツイッターに投稿した。

「ロシアのオリョール州の共産党議員は、野犬を訓練してウクライナの戦車に突っ込ませ、自爆攻撃をさせようとしている」とロスロックは書いた。「マカロフは以前、野犬を中国に送る案を同議会で提案したこともある」


だがマカロフの提案には兵站上の問題が多かったため、どちらも同僚議員たちの支持を得られなかった、と新聞は報じた。市議会のオレグ・コシェレフ副議長は、犬が人を噛む心配はないのかと質問した。アンドレイ・フロロフ議員は、飼い主のいない動物1頭を1日飼育する経済的コストについて質問した。議論の末、回答が得られなかったため、この法案は採択されなかった。

ロシアの必死さを示す証拠

米欧州陸軍の元司令官であるマーク・ハートリング退役中将も3日、ツイッターでロシアの地方議員による提案に疑問を呈した。

「なぜ犬を訓練する必要があるのかわからない。彼らは現在、そのためにロシア兵を訓練しているのではないか」と、ハートリングはつぶやいた。

ワシントンのシンクタンク、ディフェンス・プライオリティーズの大戦略プログラムのディレクターを務める政治学者ラジャン・メノンは3日、この話は、現在進行中のウクライナとの戦争において「ロシアが勝つためにいかに必死になっているかを示すさらなる証拠かもしれない」と本誌に語った。

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年2月以来の低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 5

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中