最新記事

同盟関係

プーチンが近づくのを露骨に嫌がる...ロシア「同盟国」アルメニア首相の行動が話題

Armenian Leader Appears To Edge Away From Putin as Leaders Gather for Photo

2022年11月26日(土)11時07分
ダラー・ロシュ
プーチンとパシニャン

CSTOサミットに出席したプーチン大統領とパシニャン首相(11月23日)  Hayk Baghdasaryan/Photolure via REUTERS

<プーチンの貴重な「味方」であるはずのアルメニアだが、アゼルバイジャンとの紛争でロシアの支援がなかったことに不満を募らせている>

ロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構」(CSTO)の首脳会議で、アルメニアのニコル・パシニャン首相が写真撮影の際、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領からあからさまに距離を置こうとしている様子が収められた動画が公開された。パシニャンは、同会議で共同宣言への署名を拒否するなど、ロシアへの不満をあらわにしている。

■【動画】あからさまにプーチンの近くに立つのを嫌がるパシニャン首相

この動画は、アルメニアの首都エレバンで23日に開かれたCSTOの首脳会議で撮影されたもので、米議会の欧州安全保障協力委員会(CSCE)のバフティ・ニシャノフが投稿した。

ニシャノフは「アルメニアのパシニャン首相は、プーチンからできるだけ離れたところに立とうとしている。そしてプーチンもそれに気づいている。ロシアが主導しているはずの安全保障圏の会合で侮辱されるとは」と述べた。

パシニャンは首脳会議の共同宣言について、自国の領土保全に対する「侵略」を行った隣国アゼルバイジャンについての記述がないことを非難し、署名を拒否していた。

東欧メディアのNEXTAが公開した首脳会議の別の映像では、パシニャンが共同宣言に署名をせずに、会議の閉会を宣言する様子が捉えられている。各国首脳と共に会議のテーブルを囲んだパシニャンは、「閉会します。ありがとうございました」と言い、同席していたプーチンやベラルーシのアレクサドル・ルカシェンコ大統領は、狼狽するような素振りを見せた。

CSTOは、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ロシアの6カ国で構成されている。

9月に起きた紛争へのロシアの対応に不満

パシニャンは23日、「アルメニアがCSTOに加盟していながら、アゼルバイジャンの侵略行為を防げなかったことは憂慮すべきことだ」と発言。「今日までに、アゼルバイジャンのアルメニア侵略に対するCSTOの対応について決定に至っていない。これらの事実は、我が国内外のCSTOのイメージを大きく損ねている。これはCSTO議長国としてのアルメニアの重大な失敗と考えている」と述べた。

アルメニアとアゼルバイジャンの間では、9月に紛争が発生し、双方の兵士合わせて200人以上が死亡。2020年に6000人以上が死亡して以来、最悪の衝突となった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政府閉鎖19日目、航空管制官の不足で主要空港に遅

ビジネス

9月コンビニ売上高は7カ月連続増、販促効果で客単価

ワールド

ドイツの財務相と中銀総裁、メルツ首相の単一欧州証取

ビジネス

物価目標はおおむね達成、追加利上げへ「機熟した」=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「実は避けるべき」一品とは?
  • 4
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 5
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 6
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 7
    自重筋トレの王者「マッスルアップ」とは?...瞬発力…
  • 8
    「中国は危険」から「中国かっこいい」へ──ベトナム…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中