最新記事

日中関係

日中首脳、3年ぶりの対面会談 「安定的関係へ緊密な意思疎通」で一致

2022年11月18日(金)10時25分
日中首脳会談に臨む岸田首相と習主席

岸田文雄首相は17日夜、日中首脳会談後に記者会見し、建設的で安定的な両国関係の構築に向け、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図っていくことで習近平国家主席と一致したことを明らかにした(写真は17日、日中首脳会談に臨む岸田首相と習主席) Arirang News-YouTube

岸田文雄首相は17日夜、日中首脳会談後に記者会見し、建設的で安定的な両国関係の構築に向け、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図っていくことで習近平国家主席と一致したことを明らかにした。今後、林芳正外相の訪中についても調整を進めていく。

両首脳は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のため訪れているタイのバンコクで約45分間会談した。日中首脳の対面会談は、安倍晋三政権時の2019年12月以来約3年ぶり。

岸田首相は会談の冒頭、両国は地域と国際社会の平和と繁栄にとって重要な責任を持ち、「建設的で安定的な関係を双方の努力で現実のものとしていくことが重要だ」と述べ、こうした考え方で習主席と一致したという。

日本の外務省によると、習主席からは、両国の関係には幅広い共通の利益や協力の可能性があり、重要性は変わらず、岸田首相とともに新しい時代の要求にふさわしい関係の構築をしていきたい、との発言があった。

課題と懸案

日中は今年、国交正常化50周年を迎えた。両国はこれまで経済面でのつながりを強めてきたが、近年は中国の軍事的活動が日本や東アジア地域の安全保障上の強い懸念材料となっている。

日本が実効支配し、中国も領有権を主張する沖縄県尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺では、中国海警局の船による接続水域内の航行や領海侵入が相次いでいるほか、8月にはペロシ米下院議長の台湾訪問を受けて中国が大規模な軍事演習を実施し、弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。

首相は中国の軍事的活動について深刻な懸念を表明し、台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調すると同時に、安全保障分野の意思疎通の強化を申し合わせた。習主席には、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃も強く求めたという。

首相の台湾海峡の平和への言及については台湾外交部が日本に謝意を表明。「台湾海峡情勢に対する国際社会の関心や地域の平和維持に資する前向きな措置の採用を常に歓迎している」とした。

日中首脳会談ではウクライナ情勢を巡り、首相がロシアが核兵器使用を示唆していることに強い憂慮を表明。両首脳は、核兵器の使用や核戦争を行ってはならないとの見解で一致した。さらに首相は北朝鮮について中国が果たす役割に期待を述べ、拉致問題の即時解決を含めて緊密に連携していくことを確認した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NZ中銀、自己資本規制見直しの必要性否定 競争当局

ワールド

ガザ戦闘、人道状況に「著しい悪影響」 米国務省が人

ワールド

ロシアがウクライナに無人機攻撃、南部オデーサで7人

ビジネス

中国の研究機関、エヌビディアの先端半導体調達 米の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中