最新記事

北朝鮮

アメリカには北朝鮮のミサイルを迎撃できる自信がない

Can the U.S. stop a nuclear attack? North Korea tests were simulation

2022年11月8日(火)18時21分
ニック・モドワネック

北朝鮮の最近のミサイル発射実験(日時、場所とも不明) North Korea's Korean Central News Agency (KCNA)

<北朝鮮がICBMの大気圏再突入実験にまだ成功していないか、体制にさえ維持できれば撃ってこないことを祈るばかりなのか>

北朝鮮は11月2日、1日で23発のミサイルを発射した。最近のミサイル発射実験の異例の頻度は世界の注目を集めている。一部の当局者や専門家は、一連の実験は7回目の核実験の実施が近づいている可能性を示すものと受け止めている。

ロイター通信は11月7日、北朝鮮による短距離弾道ミサイルおよび大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射は、アメリカと韓国の空軍基地や戦闘機、主要都市に対する攻撃を想定したシミュレーションだという北朝鮮の主張を報じた。

このシミュレーションは、10月末〜11月5日まで行われた米韓合同軍事演習「ビジラント・ストーム」に対抗して北朝鮮が実施したものだ。米国防総省のサブリナ・シン副報道官によれば、同演習は「米韓同盟の強化だけではなく」その強さを示すことも目的だという。

北朝鮮は同演習について、「国際的な緊張をエスカレートさせることを目的とした、あからさまな挑発」であり「きわめて好戦的な、危険な戦争演習」だと非難した。

米国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は先週、本誌に対し、「北朝鮮は一貫して我々の懸念対象だ」と述べ、北朝鮮の行動をこれまで以上に把握できるように、「朝鮮半島沖での諜報活動」を強化していると述べていた。ホワイトハウスは、北朝鮮がすぐにも7回目の核実験を行う可能性があると警告している。

「米軍の拡大抑止は揺るぎない」

こうしたなか、ロイド・オースティン米国防長官と韓国の李鐘燮国防省が3日に会談を行い、北朝鮮に対する米韓の団結を強調した。

オースティンは会談後の記者会見で「緊張が高まっているが、米韓の同盟は強固だ」と述べた。「アメリカは引き続き韓国の防衛に全力を尽くしていく。米国の核兵器や通常兵器、ミサイル防衛などを駆使して、同盟国に対する攻撃を思いとどまらせる拡大抑止は、揺るぎないものだ」

戦略国際問題研究所の国際安全保障プログラム研究員でミサイル防衛プロジェクト副局長であるイアン・ウィリアムズは、「今回の対応は、これまで見たなかで最も重大な北朝鮮による武力の行使だ」と本誌に述べた。

ウィリアムズは、そのタイミングと政治的な意味合いについて、北朝鮮は戦略的抑止力の構築を目指していると指摘。それも過去の、たとえば故・金正日時代の「どちらかといえば誇示するための」抑止力とは異なり、実際に機能する抑止力だ。

「彼らが西側諸国から具体的に何かを得ようと狙っている訳ではないと思う」とウィリアムズは言う。「彼らの目的は、本物の戦略的抑止力を構築することによって体制を維持することだ。必ずしも戦争に勝つ必要はなく、相手に十分なダメージをもたらす保持することで、敵からの攻撃と体制転換の試みを抑止することだ」

【動画】北朝鮮がキレた、過去最大の米韓空軍合同演習「ビジラント・ストーム」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

シェル、第4四半期は原油安で前年比11%減益 予想

ワールド

中国、米主導の重要鉱物貿易圏構想を批判 「国際秩序

ビジネス

スズキ、円安寄与で通期純利益上方修正 期末配当1円

ビジネス

独鉱工業受注、12月予想外の増加 基調改善の兆し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 4
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 5
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 6
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 9
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 10
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中