中国人なら騙されない 「中国でクーデター」説が拡散した3つの理由
最後に、軍が中国の救世主になる可能性は低い。中国におけるクーデターの噂の大部分は、軍が権力を掌握したという内容だ。しかし、この見方は社会主義国家における権力の正統性と、人民解放軍に対する共産党の支配力を根本的に見誤っている。
旧ソ連でも中国でも軍が権力闘争を主導したことはない。仮に反習近平のクーデターが起きたとしても、党内の他のメンバーが主導する宮廷クーデターであり、それに護衛が関与する程度だろう。
それでも外部の人間が軍に注目するのは、専制主義国家の多くで軍が権力を奪取し、自らを国家の救世主と名乗った実例が歴史上存在するからだ。
ただ、中国で真の反対勢力の源泉となり得る他のあらゆる組織は、習と共産党の手でほぼ一掃されている。
軍事クーデターの可能性は限りなく低い。それでも共産党体制の崩壊を願う人々にとっては、軍が最後の希望なのかもしれない。

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