最新記事

国葬

安倍氏国葬に国内外4300人参列、割れる賛否 岸田首相、弔問外交をアピール

2022年9月27日(火)17時30分
26日に武道館で行われた国葬のリハーサル

政府は午後に東京・千代田区の日本武道館で安倍晋三元首相の国葬を行う。写真は26日に武道館で行われた国葬のリハーサルで撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

政府は27日午後、7月に銃弾に倒れた安倍晋三元首相の国葬を行った。国内外からおよそ4300人が参列し、第2次安倍政権下で外相を務めた岸田文雄首相、官房長官を務めた菅義偉前首相らが弔辞を読んだ。銃撃事件が与党・自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係を明るみにし、国葬反対が強まり支持率が急落する中、岸田首相は「弔問外交」をアピールしたい考えで、午前にはオーストラリアやインドの首相らと立て続けに会談した。

「長さより達成した事績で記憶」

国葬は午後2時すぎから東京・千代田区の日本武道館で行われた。葬儀委員長の岸田首相は弔辞の中で、安倍氏が官房長官時代から取り組んだ北朝鮮による日本人拉致問題に触れ、被害者が家族のもとに一刻も早く帰れるよう全力を尽くすと遺影に呼びかけた。さらに戦後最長となった在任期間に言及し、「歴史はその長さよりも、達成した事績によりあなたを記憶する」と語った。

政府が首相経験者の国葬を行うのは、戦後では吉田茂氏以来2例目。法律に国葬の規定はないが、岸田首相は安倍氏の連続在任期間が戦後最長だったことなどから開催を決めた。

海外からはインドのモディ首相やオーストラリアのアルバニージー首相、ハリス米副大統領など、218の国と地域・機関の約700人の要人が出席した。うち、48人は元職を含め首脳級。中国からは全国政治協商会議の万鋼副主席が、ロシアからはシュビトコイ国際文化協力担当大統領特別代表が参加した。国内からは約3600人が参列した。

官房長官として安倍政権を支えた菅前首相は友人代表として弔辞を読み、ふと1人になると、首相官邸でともに過ごした日々の様子がまざまざとよみがえってくると振り返った。「安倍氏というリーダーがいたからこそ、特定秘密保護法や一連の平和安全法制など難しかった法案をすべて成立させることができた」と述べた。

同日午前から日本武道館近くで行われた一般献花には、多くの人が列を作った。予定の午前10時より約30分早く献花が始まると、集まった人たちが次々と花をささげた。テントの下に安倍氏の写真と台が設置され、台湾旗を持った男性の姿もみられた。東京都の60代主婦は「早めに家を出たつもりだったけど、たくさんの人が並んでいた。賛否両論で反対の方も結構多いと聞いているが、やはり国葬になると多くの人が手を合わせに来るのだな感じた」と話した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、4月は19.2万人増 予想上回る

ビジネス

EXCLUSIVE-米シティ、融資で多額損失発生も

ビジネス

イエレン米財務長官、FRB独立の重要性など主張へ 

ビジネス

米3月求人件数848.8万件、約3年ぶり低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中