最新記事

ロシア

ロシアの「嘘」がバレた動画...やはり問題のクラスター弾搭載ミサイル配備していた

Russian Official Accidentally Reveals Missiles Being Used in Ukraine

2022年7月15日(金)17時17分
イザベル・ファン・ブリューゲン
クラマトルスクのミサイル残骸

クラマトルスクの駅近くに残されたミサイルの残骸、側面にはロシア語で「For the children」と書かれていた(2022年4月8日) Stringer-REUTERS

<多数の民間人が犠牲になった4月ミサイル攻撃への関与を否定していたロシアだが、問題のミサイルが運搬される姿を映した動画が拡散される>

4月8日、ウクライナ東部ドネツク州クラマトルスクの駅にミサイルが撃ち込まれて、避難のため集まっていた子供を含む市民ら50人以上が死亡した攻撃について、ロシア側が「嘘」をついていた可能性が高まった。ロシア国防相はこれまで、攻撃に使われたミサイル「トーチカU」をロシア軍は配備しておらず、ウクライナ軍だけが使用しているとして、駅への攻撃はロシア側によるものではないと関与を否定していた。

しかし、元ロシア軍幹部でウクライナ東部の親ロ派武装勢力を率いていたイゴール・ガーキン氏は12日、ロシア軍がウクライナに対して短距離弾道ミサイル「トーチカU」を使用していることに言及し、意図せずロシア政府の「嘘」を証明してしまったようだ。

■【動画】ロシア軍元幹部が図らずもロシアの「嘘」を暴いた動画が拡散

ソーシャルメディア上で「ストレルコフ」と名乗っているガーキン氏は、「ウクライナが(東部)ルガンスク州に近い空軍基地を破壊した」と自身のテレグラムチャンネルで発言。それとともに、ソーシャルメディアで拡散されている映像に触れ、自軍のトーチカUの発射装置を隠せていないとして、ロシア軍への非難も行った。

ガーキン氏は映像について、「白昼堂々、少しも隠すことなくトーチカUを積んだ列車が(ロシアの)トゥーラ地方を南下するまれな映像だ」と述べた。

ガーキン氏は「戦車や歩兵戦闘車のカモフラージュについて言うと、ロシア国防省がカバーやネットを十分に持っていないのであれば、それほど必要ではない。しかし、ミサイルシステムは(旧式でも戦闘可能なものでも)敵軍にとって重要な標的となる」とし、ロシア軍司令部の失態だと指摘した。

ロシアはすでにトーチカUを使用していないと主張

ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は4月8日、同軍がクラマトルスクの駅をトーチカUで攻撃したとウクライナ当局から非難されたことを受け、同ミサイルの使用を否定していた。

「何よりも、ロシア軍がこのミサイルをすでに使用していないとする(ロシア)国防省の声明に沿って判断する必要がある」とペスコフは説明。「ロシア軍はこの種のミサイルを使用しておらず、また、クラマトルスクを本日攻撃する作戦は実施されてもいなければ、計画もされていない」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中