最新記事

SNS

ホワイトハウスに招かれたエール大学出身の歴史TikToker、サキ報道官に異議申す!

“I’m a TikTok Influencer”

2022年5月13日(金)17時35分
カリル・グリーン(TikTokインフルエンサー)
インフルエンサー

SNS上での情報共有はさまざまな事実や意見を紹介することが重要 KAHLIL GREENE

<TikTokはダンスやバック転動画だけではない。今ではジャーナリストや学者もこのプラットフォームで情報発信している。プロパガンダと国益とインフルエンサーとしての責任とは?>

僕のTikTokのユーザー名は「Z世代の歴史家」だ。大学では歴史を学んだし、自分も「ほぼ21世紀人」を意味するZ世代の仲間だからだ。

エール大学では、黒人として初めて学生団体の代表を務めた。人権擁護のいろんな活動にも取り組んだ。昨年のキング牧師記念日には、彼の功績についてTikTokに初めて動画を投稿した。

この動画は140万回以上も再生された。以来、ずっと教育的なコンテンツをアップしてきた。ほかにも仕事はしているが、今の僕にとってはソーシャルメディアが社会貢献の主な手段だ。

3月9日、ホワイトハウスからメールが届いた。翌10日にTikTokのインフルエンサー向けに、ウクライナ情勢についての説明会をズームで行うという案内だった。

説明会では、国家安全保障会議のメンバーやホワイトハウスのジェニファー・サキ報道官が、ウクライナ情勢の最新情報を(もちろんアメリカの視点から)説明した。ウクライナ危機に関しては、TikTok上に不満の声が多くあった。

例えば奴隷制に関する補償などの国内問題よりずっと大きく報じられ、手厚い支援の対象になっていると。僕はその声を政府に伝え、ウクライナ支援について、どうすれば国民の支持を得られると思うかと質問した。

サキ報道官らは、今回の危機は第2次大戦以降で最大規模の侵略だと説明した。ウクライナで起きていることが世界中に、ひいては全ての米国民に影響を及ぼすと述べ、ウクライナを支援することはアメリカの国益になると繰り返し強調した。

正直な答えだと思ったが、その後、彼らがさらに言葉を重ね続けたことには違和感を覚えた。それ以外の危機に目を向ける余力はないとほのめかし、論点をずらすような発言もあった。

異なる事実や意見は省略

参加したインフルエンサーの多くは、普段から政治の話をしている面々だった。だが説明会に関する彼らのその後の報告は、多くがきちんとした分析や批評を欠き、政府の言い分を繰り返しているだけのように思えた。歴史を学び、プロパガンダの機能を熟知している者としては、「事実や異なる意見の省略」が気掛かりだった。

情報を共有する際は、あらゆる異なる事実や意見を共有すべきだし、ホワイトハウスで当局者が戦争について話すのを聞く機会を得た者には、それだけの責任が伴うと思う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は反落、FRB理事解任発表後の円高を

ビジネス

トランプ氏、クックFRB理事を異例の解任 住宅ロー

ビジネス

ファンダメンタルズ反映し安定推移重要、為替市場の動

ワールド

トランプ米政権、前政権の風力発電事業承認を取り消し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 7
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 8
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中