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北朝鮮

「一族の神話」崩壊に追い込む、ロックダウンに耐えられない脆弱な経済

A Disaster in the Making

2022年5月25日(水)14時55分
ジャスティン・フェンドス(韓国・東西大学教授)

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北朝鮮国営メディアが3月24日の「新型ICBM」の発射実験の模様として発表した画像 KCNAーREUTERS

人道支援が合理的な選択

北朝鮮当局は向こう1年間、政治の担い手としての真価が問われることになる。夏場は差し当たって感染拡大のペースが減速するかもしれないが、秋と冬の到来が大きな不安材料になるだろう。高度な感染対策の手立てを持っていて、国民のワクチン接種率が高い韓国でも、この冬はオミクロン株の感染拡大を抑え込めなかった。

今年1月、北朝鮮は数度にわたりミサイル発射実験を実施した。その行動には、新型コロナ関連の支援を求めるメッセージを国際社会に発する意図があったのかもしれない。

オミクロン株の感染力の強さを十分に認識していた北朝鮮当局は、攻撃的な姿勢を示すことにより、国際社会から食料やワクチンの支援を引き出そうとしたように思える。

国内で新型コロナの感染拡大が始まった今、北朝鮮がどのような戦略を取るのかはまだ見えてこない。今後も同様のミサイル発射実験を繰り返すのか(最初の感染確認を発表した12日にも発射実験を行っている)。それとも捨て鉢になり、もっと挑発的な行動を取るのか。この問いの答えが明らかになるのはもう少し先だ。

北朝鮮での感染拡大がまだ初期段階であることを考えると、いま国際社会が人道支援に乗り出せば惨事を防げる可能性が十分にある。医療物資やワクチン、人工呼吸器、食料などの提供が有効だろう。それに、いま支援を行えば、後に北朝鮮を非核化協議に引き出せる可能性もある。

朝鮮半島以外の国々の指導者の中には、北朝鮮を放置して苦境に追いやり、金正恩による独裁体制を不安定化させたいと内心で考えている人も多いに違いない。

しかし、新型コロナの感染拡大で金体制の土台が揺らいだ場合、核兵器の扱いがどうなるか分からないというリスクがある。この懸念は、近隣諸国以外の人々にはあまりピンとこないのだろうが。

©2022 The Diplomat

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