最新記事

インド

2億5000万人以上が参加した「人類史上最大のデモ」を知っていますか?

2022年5月5日(木)14時16分
澤田知洋(本誌記者)
インド農業法反対デモ

コルカタでの農業改革法反対デモ(2020年9月) Rupak De Chowdhuri-REUTERS

<累計2億5000万人以上が参加したとされる史上空前の規模のデモで、インドの人々は何を訴えていたのか>

「人類史上最大級」と言われる規模の抗議運動がインドで展開されていたことをご存じだろうか。2020年9月、同国のモディ首相率いる現政権は農産物市場の自由化と農家の所得向上などを目的とした3法を成立させた。

ところがこの農業改革法が大企業の支配を強めるものだとして抗議運動が全国に拡大。各地の農業組合も参加してデモは累計2億5000万人以上が参加する空前の規模に膨らんだ。米歌手リアーナやスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリがデモへの支持を表明するなど、国際的にも注目を集めた。

首都デリー近郊にまで殺到したデモ隊に恐れをなしたモディ政権は1年以上たった21年11月、3法の撤廃を決めた。インドでは人口の約半分を農家が占める。撤廃で大票田を失わずに済んだ与党インド人民党は、今年2~3月に行われた国内最大の人口を持つウッタルプラデシュ州など4州の地方選で勝利した。

ただ、農民の困窮の解消とさらなる経済成長には農業改革は不可欠で、問題は先送りされただけといえる。このデモは盤石に見えるモディ政権がいつまた暴発するかもしれない「爆弾」を抱えていることを示している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

FRB、物価圧力緩和まで金利据え置きを=ジェファー

ビジネス

米消費者のインフレ期待、1年先と5年先で上昇=NY

ビジネス

EU資本市場統合、一部加盟国「協力して前進」も=欧

ビジネス

ゲームストップ株2倍超に、ミーム株火付け役が3年ぶ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子高齢化、死ぬまで働く中国農村の高齢者たち

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 6

    自宅のリフォーム中、床下でショッキングな発見をし…

  • 7

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 8

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 9

    あの伝説も、その語源も...事実疑わしき知識を得意げ…

  • 10

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中