最新記事

アメリカ

誰もが予想した軍事大国アメリカの「不備」──中国に「船」で苦戦する理由

2022年4月21日(木)17時07分
アレックス・ルーハンデー

外国人船員の「反乱」も

米下院軍事委員会・即応力小委員会の委員長で、沿岸警備・海上運輸に関する運輸小委員会のメンバーでもあるジョン・ガラメンディ下院議員(民主党)は、それが戦争にいかに重要な影響を及ぼし得るかをよく知っている。

彼はその理由として、第1次湾岸戦争の例を挙げた。当時アメリカは民間の船舶を雇い、軍事物資を積み込んでイラクに送ることにした。しかしこの船のパキスタン人乗組員たちは、積み荷の中身と目的地を知ると物資の輸送を拒んだという。

「台湾有事の時も補給が難題になる」とガラメンディは本誌に語った。

「太平洋の向こうで戦争が起きた場合、アメリカには戦闘を維持するのに必要なだけの船舶がない。ほかの国々に要請して、船舶を借り受けなければならない」

世界の商船隊の約50%はアジアの企業が所有しており、UNCTADによれば、アメリカの同盟国である日本が全体の11%、韓国が4%を保有している。

それでも両国の海域で戦争が勃発した場合に、アメリカがそれらの船舶を借り受けられるとは限らない。

しかしウィットマン議員は、フィラデルフィアのある造船所に希望を見いだしている。

この造船所は低コストで迅速に船舶を建造する能力があり、1年前に1隻目の建造を開始し、予想を上回るペースで早くも2隻目の建造に着手しているという。

一方、ガラメンディは現在、「国家海上安全保障計画」と称するものを作成中だと語った。ジョーンズ法の要件を満たす船舶を、軍事補助に使えるようにする内容だ。

米運輸省の報告によれば、米船籍の180隻の船舶のうち、157隻は軍事補助に役立てることができると考えられている。そのほかの船舶についても、この機能を持つよう改造することが可能だと彼は言う。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

プーチン大統領18日訪朝、24年ぶり 関係強化の動

ワールド

中国のEU産豚肉調査、スペインが交渉呼びかけ 「関

ワールド

パレスチナ自治政府、夏にも崩壊 状況深刻とノルウェ

ワールド

ロシア、拘束中のWSJ記者の交換で米国と接触=クレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は「爆発と強さ」に要警戒

  • 2

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…

  • 5

    FRBの利下げ開始は後ずれしない~円安局面は終焉へ~

  • 6

    顔も服も「若かりし頃のマドンナ」そのもの...マドン…

  • 7

    水上スキーに巨大サメが繰り返し「体当たり」の恐怖…

  • 8

    なぜ日本語は漢字を捨てなかったのか?...『万葉集』…

  • 9

    中国経済がはまる「日本型デフレ」の泥沼...消費心理…

  • 10

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…

  • 7

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 8

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 9

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 10

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中