最新記事

人権

「命が狙われてもやめない」──息子の「遺志」を継ぎ、人権活動家になった

Empowerment in Syria

2022年4月20日(水)17時00分
ハリア・ラハール(女性権利活動家)
ハリア・ラハール

「私の声を封じたい人がいるのなら、私は正しいことをしている」と語るラハールの戦いは続く THE SYRIA CAMPAIGN

<15歳で結婚し、4人の子供の母親となったハリア・ラハール。ジャーナリストだった息子を殺され、命を狙われてもやり続けること>

私は15歳のときに10歳上の男性と見合い結婚をした。私が育ったシリア北部イドリブ県のカフランベルには、一部でそうした慣習が残っていた。

結婚する1年前の1988年にラッカ市の陸上競技大会で優勝し、全国大会への出場を夢見ていたが、それは「一線を越える」野心だった。結婚したため、学校を卒業することもかなわなかった。90年に16歳で長男のハレドを産み、5年後に娘、2000年と01年に2人の息子を授かった。

シリアで民主化運動が高まる前、私は美容院を経営していた。自分のために何かしなければならない、経済的に自立しなければならないと考えたのだ。美容院は女性が集まっておしゃべりをし、日常生活について意見を交わす場所になった。

11年に内戦が始まると、私たちは政治や女性の将来について議論するようになった。その中から、女性が成功するために必要な教育、知識、技術を提供する場所をつくるというアイデアが生まれた。

13年初頭にボランティアで活動を始め、同年6月に「女性のエンパワーメントのためのマザヤ・センター」の最初の施設をオープンさせた。

職業訓練や教育プログラム、心理的なサポートを提供し、看護や応急処置の基礎的なスキル、理美容、縫製、織物、経済、写真、法律、ジャーナリズムなどのコースを開いた。

私は自分の子供が夢を実現できるように、私のように人生の機会を否定されないようにしてやりたいと思った。

シリア北部で女性の権利のために活動する私の日常は、危険と試練にあふれている。武装集団の暴力的な攻撃だけでなく、地元の人々からの殺害予告もあり、オンラインで嫌がらせや暴言を浴びている。14年11月にはセンターの本部が放火され全焼した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=続伸、貿易協議に期待 エヌビディアな

ビジネス

2%目標重視に回帰を、過去の低インフレ穴埋めせず=

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、前日の売りから反転 関税懸

ワールド

トランプ氏、NATO首脳会議出席へ=ホワイトハウス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:韓国新大統領
特集:韓国新大統領
2025年6月10日号(6/ 3発売)

出直し大統領選を制する李在明。「政策なきポピュリスト」の多難な前途

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 5
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 6
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 7
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 8
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 9
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 10
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中