最新記事

ウクライナ

プーチンは勝利のためにも絶望からも核を使いかねない

Putin Prepared to Use Nuclear Weapons—Khrushchev's Great-granddaughter

2022年4月18日(月)15時28分
カレダ・ラーマン

アムール州のボストチヌイ宇宙基地を視察したプーチン(4月12日) Sputnik/Mikhail Klimentyev/Kremlin/REUTERS

<核使用を匂わせるプーチンやロシア政府指導層の発言は、ただの脅しではない、全世界が本気で備えるべきだとロシアを熟知する専門家は警告する>

ソビエト連邦の最高指導者だった故ニキータ・フルシチョフの曾孫にあたるニーナ・フルシチョワ教授(国際問題)が、ロシアはウクライナで核兵器を使用する準備をしているかもしれない、と警告した。

ニュースクール大学(ニューヨーク)で教鞭をとるフルシチョワは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナで勝利を宣言したいがために、最終的に戦術核兵器を使うのではないかと危惧していると語った。

「勝利を得るためにロシアは何でもやりかねない可能性がある上、核兵器使用についてはロシアと西側の間で警告の応酬もあった。戦術核の使用が選択肢に入っていてもおかしくない」と、フルシチョワは本誌に語り、自分のコメントは「予測ではない」と付け加えた。

「そこは明確にしておきたい」と、彼女は言う。「核が使用される事態になると言っているわけではない。だがシナリオとして、最も可能性が高いとは言えないが、考えられないことではない」

フルチショワは以前、イギリスのBBCにも「プーチンはこの戦争に本気で勝つつもりだし、どんな犠牲を払っても勝ちにいくはずだ」と語った。

「だから、プーチンが勝利を宣言するために、戦術核兵器を使用する必要があるとしたら――これは予測ではないけれど、核を使うことは、ロシア側が覚悟している選択肢のひとつかもしれない」

核攻撃を正当化

ウクライナ侵攻の直後、プーチンは西側諸国に手を出すなと警告し、ロシア軍の核兵器を運用する部隊に、特別警戒態勢を命じたことを明らかにした。また、ロシアに干渉する国は「歴史上経験したことのないような結果」に直面することになる、とも述べていた。

最近、ロシア政府の指導層は、ウクライナにおける核兵器使用を正当化する理由を掲げている。

ロシア安全保障会議の副議長を務めるドミトリー・メドベージェフ前大統領は3月、ロシアが核兵器を使用する「権利がある」場合について、複数の条件を挙げた。そこには、通常兵器しか使用していない国に対しての核攻撃を正当化する条件も含まれていた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も先日、ロシアが化学兵器や核兵器を使用する可能性に対して、世界中のすべての国が備えるべきだという考えを示した。

「ロシアは化学兵器を使うことができるし、そうするはずだ。ロシア軍にとって人命などは無に等しいからだ」と、ゼレンスキーはCNNのインタビューで語った。「われわれは恐れるより、準備することを考えるべきだ。それはウクライナの問題ではない。ウクライナだけではなく、全世界の問題だと思う」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は続伸、終値ベースの最高値更新 朝安後切り

ビジネス

午後3時のドルは147円後半、売買交錯が続く

ワールド

スイスの経常黒字が半減、トランプ関税巡り金輸出に異

ワールド

超大型の台風18号、台湾東部で14人死亡・152人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 2
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 3
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市場、売上を伸ばす老舗ブランドの戦略は?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    「汚い」「失礼すぎる」飛行機で昼寝から目覚めた女…
  • 6
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 7
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 8
    カーク暗殺をめぐる陰謀論...MAGA派の「内戦」を煽る…
  • 9
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 10
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 6
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 7
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 8
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 9
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中