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上海ロックダウン...「闇」の食料品店、感染児童を親から隔離、飼い犬を殺処分

Food Shortages Shake Shanghai

2022年4月11日(月)16時55分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌副編集長)

ロックダウンが続く地区の状況は悪化している。食料品も飲料水も不足し、住民間で争いが起きているという。

政治の季節を目前にして

当局の最悪の決定の1つが、感染児童を強制的に親から引き離す措置だ。オンラインで怒りの声が高まり、措置は先日撤回された。

感染者が出た家庭の飼い犬の殺処分も散発的に行われ(国内1都市で短期間実施された例を除けば、公式な政策ではない)、激しい非難を巻き起こしている。

病院の閉鎖や新型コロナ検査の重点化は深刻な医療問題も招いている。ネット上では、上海疾病対策予防センターの職員が、政府への不満を語る電話の録音が拡散された(その後、検閲によって削除)。

最近の封鎖措置や関連報道は、感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策への見方を変化させているようだ。

中国の世論は正確な見極めが困難なものの、これまで2年以上にわたってゼロコロナ政策は国民に広く支持され、ナショナリストいわく中国的統治の優越性の証しだった。

だが今ではゼロコロナ政策への不満や、規制一辺倒でない他国の手法を擁護する声が、政府の対策を支持する声を大きく上回る。強硬な体制支持派の間でさえ、そうだ。

それでも、政府が近日中にゼロコロナ政策を放棄する見込みは薄い。

副首相の孫春蘭(スン・チュンラン)は4月初めに上海を視察訪問し、現行対策の「確固たる遵守」を強調した。

習近平(シー・チンピン)国家主席にとって、今年は政治的に難しい年だ。

習は今秋に開かれる中国共産党大会で異例の3期目続投を決め、事実上の終身独裁を実現しようとしている。そうした状況の中、政府高官は誰もが神経をとがらせている。

言い換えれば、安定こそが最優先課題だ。今の中国に、既存の政策を転換するリスクは許されない。

From Foreign Policy Magazine

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