最新記事

韓国

韓国、新型コロナ新規感染者世界最多 政府はさらに規制緩和

2022年3月23日(水)13時54分
佐々木和義

新型コロナ新規感染者が急増する韓国...... REUTERS/Heo Ran

<韓国で新型コロナウイルスの新規感染者が急増している。医療機関、政府の対応にも混乱が見られる......>

韓国中央防疫対策本部は、3月16日0時から17日0時までの新型コロナウイルスの新規感染者が62万1328人となり、429人が死亡したと発表した。感染者と死亡者のいずれも感染症が広がって以来、最多を記録した。

17日午後から尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領と相星孝一在韓日本大使の面会が予定されていたが、相星大使が感染したため、延期となった。

また、PCR検査の受検者が増えたことから保健所の業務が停滞し、検査希望者が医療機関に殺到。感染者が世界最多を記録するなか、政府はソーシャルディスタンスを緩和した。予防医学の専門家は政府が防疫を放棄しただけでなく、感染をあおっていると指摘する。

世界の新規感染者で韓国が最多に

世界保健機関(WHO)が3月16日に発表した週間疫学報告書によると、3月7日から13日の世界の新規感染者は1140万7714人で、韓国が210万171人で最も多かった。以下、ベトナムの167万627人、ドイツの135万362人、オランダの47万5290人、フランスの41万9632人が続いている。

3月18日には人口100万人当たりの7日平均新規感染者が7500人を記録した。3月4日にピークに達した香港の5845人や1月25日にピークとなったフランスの5436人など主要国を上回っており、1月25日に1万968人を記録したイスラエルに次ぐ規模だ。

sasaki20220323b.jpgGoogleより

韓国気象庁は予報が当たらないことで知られているが、中央防疫対策本部も感染者の急増を予測できなかった。1日の新規感染者が8000人を超えた1月25日、金富謙(キム・ブギョム)首相はピークを3万人程度と述べた。2月7日には、鄭銀敬(チョン・ウンギョン)疾病管理庁長が13万-17万人になると予測した。

1日の感染者が17万人に達した後、一時的に減少すると、韓国政府は3月1日、12月から導入していた防疫パスの運用を中断し、濃厚接触者の隔離措置を解除した。また5日には私的会合の人数を4人から6人に緩和して、ワクチン未接種者の会食への参加禁止を解除した。大統領選挙の投票日が迫るなか、営業制限で不満が溜まっていた自営業者の票を意識した政治的緩和という批判が出た。

感染者の急増は中国にも飛び火

感染者の急増は中国にも飛び火している。3月10日、経済紙・北京商報が「浙江省の各地域で数人の感染者が韓国から輸入した衣類に接触していたことが確認された」と報じたのだ。

浙江省紹興市当局は公式SNSで「杭州市のコロナ感染者が外国からの輸入衣類を通じて感染したことが分かった」「市民は必須ではない輸入品を購入してはならない」と勧告し、「特に韓国から輸入した衣類を購入した人はPCR検査を受けるように」と付け加えた。

中国では新型コロナが海外郵便物や貨物を通じて流入したという主張が提起されてきたが、韓国製品を名指したのは初めてで、主要ポータルサイト「百度(バイドウ)」でも「韓国輸入衣類」を検索すると「疫情(伝染病状況)」などのキーワードが表示されるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、中国製半導体に関税導入へ 適用27年6月に先送

ワールド

トランプ氏、カザフ・ウズベク首脳を来年のG20サミ

ワールド

米司法省、エプスタイン新資料公開 トランプ氏が自家

ワールド

ウクライナ、複数の草案文書準備 代表団協議受けゼレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 9
    砂浜に被害者の持ち物が...ユダヤ教の祝祭を血で染め…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中