最新記事

ロシア軍

3日食事なく「俺たちは捨て駒」と嘆き...補給を断たれた前線のロシア兵の映像

Video Shows Russian Soldiers Left in Limbo As 'Cannon Fodder'

2022年3月4日(金)18時10分
ブレンダン・コール
ロシア軍部隊

YouTubeに投稿された動画より

<士気の低さが指摘されるウクライナ侵攻中のロシア軍だが、補給もなく孤立する部隊の窮状を訴える動画が拡散されている>

自分たちは上官に「捨て駒にされた」と嘆くロシア兵たちの動画がソーシャルメディアに投稿され、話題になっている。ロシア政府がウクライナ侵攻のために派遣した部隊の士気が低さはたびたび指摘されているが、今回の動画もその一例と言えそうだ。

動画が撮影された場所は公開されていないが、そこに映し出されているのは所在なげに立っているロシア兵たち。撮影者のロシア兵によれば彼らは3~4日そこに留まっているが、その間、まともに食事にありつけていないようだ。また、テントもなく、地面に横になって眠らざるを得ないという。

「我々は、国境を越えるための迎えを待っている。連れて帰ってくれる、と3日間にわたって言われ続けてきたのだが、誰も連れて帰ってくれない」と、動画の中でロシア兵は語る。

「意気消沈するロシア兵たち」と題されたこの動画は、YouTubeに投稿されたものだ。動画のなかで撮影者は、「自分たちの足はずぶぬれ」で、「どうしたらいいかわからない」と話している。

調査報道団体「コンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)」は、ツイートでこう述べている。「映像は、(捕虜になっていない)ロシア兵によって撮影されたものだ。撮影者は、損失や過酷な状況について不満を漏らしている」

ロシアがウクライナに侵攻して以来、参戦したロシア兵たちが幻滅している姿が複数報道されており、この動画はそのひとつだ。米国防総省は3月1日、若い徴集兵を含むいくつかの部隊が丸ごと、ウクライナ軍と戦うより武器を置くことを選択していると述べた。

「軍事演習だと思った」「ママつらいよ」

ウクライナ保安庁が公開したいくつかの動画では、ロシア人捕虜と見られる人々が、「軍事演習に参加していたつもりだったのに、気がついたら侵攻部隊の一員になっていた」と語っている。食料や燃料が底をつき、略奪に走る部隊もあれば、軍装備品を放棄する部隊もあると伝えられている。

米国防総省の当局者はニューヨーク・タイムズ紙に対し、ウクライナに駐留するロシア軍のなかには、戦闘を避けるため、集団で降伏したり、自軍の車両を破壊したりしている者たちがいると述べている。

ウクライナのセルヒー・キスリツァ国連大使は3月1日、戦死する直前のロシア兵が送ったとされるテキストメッセージを読み上げた。そこには、一部の兵士が感じている後悔が記されていた。「恐ろしい。私たちは都市全体を爆撃している。民間人も標的になっている」と、テキストメッセージには書かれている。

「彼らは、私たちを歓迎するだろうと聞いていた。それなのに、実際には私たちの装甲車の下に倒れ込んでくる。車輪の下に身を投げ出し、私たちの通行を妨げてくる」とテキストメッセージは続く。「彼らは私たちをファシストと呼んでいる。ママ、つらいよ」
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中