最新記事

英王室

ヘンリー王子また大顰蹙、ロンドン警視庁の王室警備を「金で買おうとした」

Prince Harry Wants Police Protection 'Served Up' Like 'Fatted Calf'—Lawyer

2022年1月18日(火)17時02分
ジャック・ロイストン
ヘンリー王子とメーガン妃

アメリカの民間警備はイギリスでは役に立たないとヘンリー王子は言う(2021年9月、メーガン妃とともにマンハッタンの9.11メモリアルミュージアム訪問) Andrew Kelly-REUTERS

<昨年7月に亡き母ダイアナ妃の銅像の除幕式に出席した際、パパラッチに追いかけられたのがきっかけか、ヘンリー王子は英国での警察警護を拒否した英内務省を訴えた>

イギリス王室を「離脱」し、現在はアメリカで暮らすヘンリー王子が、イギリス滞在時にイギリス警察の警護を受けられないとした決定をめぐり、同国政府を訴える法的手続きを2021年9月に開始していたことがこのほど報じられ、話題を呼んでいる。ある弁護士は本誌に対し、王子のこうした動きは、「アンチ王子派」の人たちの怒りをさらに増幅するものだと語った。

「サセックス公爵」の爵位を持つヘンリー王子は、自身のイギリス滞在時に警察の警護をつけないとした英内務省の決定をめぐり、「司法審査」を求める訴えを起こした。ただし、自身の警護にあたる警察官にかかる費用は負担すると申し出た。

王子の弁護人は、警察による特別な警護態勢がない状況では、王子は母国のイギリスに帰ることができないと述べた。王子には民間の警備スタッフがついているが、それでも身の安全に関するリスクが高すぎるという。

ウィザーズ法律事務所で、レピュテーション部門のグローバル責任者を務めるアンバー・メルビル=ブラウンは、本誌の取材に対して次のように述べた。「『放蕩息子』(=ヘンリー王子)の帰国は歓迎されてはいるものの、イギリスの警察や警備担当部門に特別扱いを求めるのは、たとえその費用を自ら負担するとしても、ブランドイメージの面から見て賢明な行動とは言えない」

アンチ王子派の攻撃材料に

「今回の法的措置は、アンチ王子派に向けて、さらなる攻撃材料を与えることになる可能性がある。王室が最も望んでいないタイミングで、メディアからの否定的な注目を集める行動として批判を浴びうるものだ」

「逆に、イギリスの警察および警備担当部門にとっては、予想外のところで訪れた無償の宣伝チャンスであり、肯定的なイメージ作りに役立つものだ。ほかならぬヘンリー王子自身が、彼らはほかに代わるものが絶対にないほど優秀だと、お墨付きを与えてくれた格好になったからだ」

イギリスにおいて、民間の警備サービスは、アメリカで提供されているのと同等の警護は提供できない、とヘンリー王子のチームは考えている。イギリスでは、民間のボディガードに対して警察が与える支援がアメリカほど充実していないこともその一因だという。

イギリスでは銃器に関する法律が厳しく、民間の警備チームは銃を携行できないという事情もある。

司法審査を求める今回の訴えに関して、ロンドンの高等法院が審議にゴーサインを出した場合、この審査は、内務省における意思決定プロセスの妥当性を問うものとなる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米7月雇用7.3万人増、予想以上に伸び鈍化 過去2

ワールド

ロシア、北朝鮮にドローン技術移転 製造も支援=ウク

ビジネス

米6月建設支出、前月比0.4%減 一戸建て住宅への

ビジネス

米シェブロン、4─6月期利益が予想上回る 生産量増
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    ニューヨークで「レジオネラ症」の感染が拡大...症状…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 3
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経験豊富なガイドの対応を捉えた映像が話題
  • 4
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 5
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 6
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 7
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 8
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 5
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中