最新記事

韓国政治

両陣営の謝罪合戦、投票日まで2ヶ月、混迷を極める韓国大統領選

2022年1月14日(金)14時40分
佐々木和義

疑惑報道から3日後の12月17日、尹錫悦候補は国会記者室で謝罪文を読み上げた。また、金建希氏も12月26日、国民の力の党本部で記者会見を行って、経歴詐称を認めた上で謝罪した。

尹錫悦候補は失言が多く、野党の悩みの種となっている。12月22日に「貧しく学がない人は自由が何か知らない」と発言し、23日には「『共に民主党』に入ることができなかったため、やむをえず『国民の力』を選択した」と述べている。

一方の李在明候補は、ラジオ番組のインタビューで「金建希氏は国民の前に姿を現して謝罪したが、李候補の息子は姿を現したのか」という質問に「大統領夫人は公的な存在だが、大統領の息子は成年で他人だ」と答えている。

いずれの候補も非好感が好感を上回る

尹錫悦陣営は内紛も起きている。12月21日、国民の力の李俊錫(イ・ジュンソク)代表が「すべての選挙対策委員会の職責から降りる」と話して、選挙対策委員長と広報メディア本部長から退くことを宣言した。中央選挙対策委員会の趙修真(チョ・スジン)公報団長との対立が背景だ。

前日20日の選挙対策委員会で、李代表が尹候補に関係する報道を整理すると話すと趙団長は「候補の言葉だけを聞く」と反発した。趙修真団長が「李俊錫を辞任させるべき」と題した李代表を批判するユーチューブのリンクを周囲と共有していたことが発覚して、党代表と尹候補関係者の対立が激化し、党幹部が李俊錫代表の辞任を求める事態にまで発展した。

1月5日、尹錫悦候補が選挙対策委員会の解散を発表。収束をはかるため、新たな事務総長に党の重鎮で元駐中国大使の権寧世(クォン・ヨンセ)国会議員を任命した。翌6日には「選挙の勝利という大義のために誤解はすべて忘れよう。みんなが力を合わせて勝利に進もう」と話して李俊錫代表と和解した。

李在明候補は好感36%に対して非好感は58%、尹錫悦候補は好感25%で非好感は68%、安哲秀候補は好感38%、非好感54%といずれも非好感が好感を上回る。「歴代級の非好感大統領選挙」で選挙後も後遺症が避けられないと憂慮する声が出ている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ドル・米株大幅安、雇用統計が予想下回る

ビジネス

米労働市場おおむね均衡、FRB金利据え置き決定に自

ビジネス

米7月雇用7.3万人増、予想以上に伸び鈍化 過去2

ビジネス

パウエル氏利下げ拒否なら理事会が主導権を、トランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中