最新記事

宇宙理論

人間が見ている宇宙は全体のたった5%、残りは?

5 Unexplained Mysteries of the Universe

2021年12月27日(月)20時28分
エド・ブラウン

専門家らは表れたり消えたりする粒子によってダークエネルギーが生まれると考えて計算しようとしたが、10の120乗という恐ろしい数になってしまうことが分かった。NASAの言うように「こんなにとんでもない答えを出すのは困難」だ。

アインシュタインの理論の中には、もっと多くの宇宙が存在しうることや、この宇宙は空っぽではなく、いわゆる宇宙定数と呼ばれるエネルギーが存在することを示唆するものもある。

だがなぜそれが存在するはずなのか、なぜそれほどの力をもっているかは明らかではない。まったく新しい重力理論が必要だと考える人もいるが、謎の部分を説明するだけでなく、例えば太陽系の惑星の動きも正確に説明できるような理論とはいったいどんなものになるのだろうか? 謎は終わりそうにない。

ダークマターの謎

ダークエネルギーと対になっているのがダークマターだ。ダークマターは星が本来あるべきスピードよりも速く銀河を回っている理由や、光が目に見えない物体の重力によって曲がる理由を説明するのに必要な概念だ。

NASAによれば、ダークマターは「○○ではない」と考えると分かりやすい。直接見ることができない、つまり恒星でも惑星でも「ない」。放射線やエネルギーを吸収する雲のように観測できないから、暗黒の普通の物質ではない。反物質が物質と衝突する際に出るガンマ線が検知されないから反物質でもない。観測されている重力レンズ(大きな質量を持つ天体の重力で光が曲げられる現象のこと)の数から見て、大きなブラックホールでもない。

今、広く受け入れられている理論は、ダークマターは仮説上の粒子によってできているというものだ。

ダークエネルギーとダークマターは合わせて宇宙の95%を占めているというのが定説だ。われわれが直接観測できるのは残る5%に過ぎない。

テキサス大学オースティン校天文学部のマイク・ボイランコルチン准教授は本誌に対し、「ダークマター研究における足かせとなっているのは、ダークマターと宇宙の他の要素との間では重力を通じた影響しか確認されていないということだ。そして重力は直接実験するのは難しい」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中