最新記事

アフガニスタン

国連、タリバンに約7億円の支払い提案 アフガニスタン支援団の安全確保で

2021年12月22日(水)13時43分
アフガニスタン首都カブールで警備に当たるタリバン兵士

国連がアフガニスタン支援団の安全確保のため、イスラム主義組織タリバン暫定政権の内務省に約600万ドルの支払いを提案していることが、国連資料や関係筋の話で明らかになった。写真は11月25日、カブールで撮影(2021年 ロイター/Ali Khara)

国連がアフガニスタン支援団の安全確保のため、イスラム主義組織タリバン暫定政権の内務省に約600万ドルの支払いを提案していることが、国連資料や関係筋の話で明らかになった。

ロイターが確認した資料によると、国連支援団に関して旧アフガン政府と結んだ地位協定を広げる形で、国連施設を警備するタリバン戦闘員の来年の給与引き上げや食料費手当に主に充当する。

国連のファルハーン・ハック副報道官はロイターの問い合わせに対し、「国連職員が不安定な地域で勤務する場合は、国連は雇用主として受け入れ国の能力を強化し、必要ならば補完する義務がある」と電子メールで回答した。

複数の専門家は、国連による支払いは、タリバンと暫定政権幹部に対する米と国連の制裁に抵触するかどうか疑念を生じさせると指摘。他の使途に資金が流用された場合に国連が検知可能かという問題も残る。

関係筋は「適切な監視体制がないということだ」と述べた。

制裁に指定されたタリバン幹部にはハッカニ内相代行が含まれる。ハッカニ氏は武闘派グループ「ハッカニ・ネットワーク」の指導者で、連邦捜査局(FBI)は情報提供に1000万ドルの報奨金を付けて指名手配している。

国連のハック副報道官は、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)は国連制裁を完全に順守していると述べた。米国の制裁に関する質問には回答がなかった。

アフガン首都カブールには国連職員約3500人が勤務し、国連のフィールドオフィサー10人も職務に就いている。公共サービスが破綻し、外国の支援停止で経済の崩壊が進む中、国連職員の多くは食料不足に対応した支援を行っている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・タリバン大攻勢を生んだ3つの理由──9.11以来の大転換を迎えるアフガニスタン
・タリバンが米中の力関係を逆転させる
・<カブール陥落>米大使館の屋上からヘリで脱出する「サイゴン陥落」再び


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

メルセデスが米にEV納入一時停止、新モデルを値下げ

ビジネス

英アーム、内製半導体開発へ投資拡大 7─9月利益見

ワールド

銅に8月1日から50%関税、トランプ氏署名 対象限

ビジネス

米マイクロソフト、4─6月売上高が予想上回る アジ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 5
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 6
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 10
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中