最新記事

仮想通貨

取引所から「消える」ビットコイン、過去最高値の裏で起きていること

2021年11月22日(月)16時42分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)
ビットコイン流出

traffic_analyzer-iStock

<11月も過去最高値を更新したビットコインだが、取引データを分析する「オンチェーン分析」から見えてきたのは、投資家たちのさらなる強気姿勢だ>

過去最高値更新から10日あまりたった現在、ビットコインは下落局面に転じています。一時的な調整なのか? それとも強気相場の終えんを意味しているか? 気になるところでしょう。

もし後者であるとすれば、11月10日の6万9000ドルというサイクルの頂点に向かって取引が活発になり、頂点を超えたら取引が落ち着くという動きになると考えるのが自然でしょう。しかし、クラーケン・インテリジェンスのオンチェーン分析によりますと、マーケットではビットコインに対する強いニーズが引き続きみられ、過熱感はなかったことが分かります。

取引所から無くなる2大仮想通貨

オンチェーン分析とは、ブロックチェーン上の取引データを分析してトレードに活かす仮想通貨ならではの手法です。今回は、クラーケンなど仮想通貨取引所が保有するビットコインとイーサリアムの量が歴史的に低い水準まで減少していることを解説します。

取引所が保有する仮想通貨が減るということは、投資家が仮想通貨を自身が管理するコールドウォレット(オフラインのウォレット)などに移動し、すぐに市場で売買する気がない状態であることを示します。基本的には、投資家が将来的にさらなる上昇が見込んでいることを意味し、「長期保有をしていくんだ」という姿勢の表れと解釈できます。

まずはビットコインを見てみましょう。

2021年6月23日に268万3000BTCという8ヵ月ぶりの高水準をつけて以降、取引所が保有するビットコインの数は減少し、11月6日に3年ぶりの低水準となる244万7000BTCまで下がりました。6月23日以降で8.8%のマイナスです。

211120kr_ocar02.png

「取引所が保有するビットコイン(緑色の範囲)」(黒色の線はビットコイン/米ドルのレート、出典:Kraken Intelligence)

同様に、取引所が保有するイーサリアムも減少しています。減少幅は、ビットコインより大きく、2018年の11月以降で最低の水準まで落ち込みました。2020年8月につけた2257万7000ETHから37%近くのマイナスです。

211120kr_ocar03.png

「取引所が保有するイーサリアム(紫色の範囲)」(「取引所が保有するイーサリアム」(黒色の線はイーサリアム/米ドルのレート、出典:Kraken Intelligence)

次に、30日ごとに測る取引所のビットコイン保有量の変化を見てみましょう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中