最新記事

台湾

「アメリカは台湾を防衛する」──バイデンの台湾支持が国連と世界のさらなる分断招くと中国

Chinese State Media Calls Biden Admin 'Most Incapable' in U.S. History Amid Taiwan Tension

2021年10月25日(月)19時58分
ジェイソン・レモン
バイデン

アメリカの対台湾政策をまた一歩進めたバイデン米大統領 Jonathan Ernst-REUTERS

<怒り心頭の中国政府は国営メディアを通じ、バイデン政権を「史上最低の政権」と非難した>

台湾に関連する米中の緊張が高まるなか、中国国営メディアはジョー・バイデン大統領を非難し、現在の政権は、「米国史上最も能力が低く、堕落している」と述べた。

中国は台湾を「一国二制度」政策の下における自国の一部と主張している。しかし、台湾は何十年もの間、独立性と自治を維持しており、中国政府が武力で台湾を自国の支配下に置こうとする場合、アメリカは台湾に軍事的な支援をすることを表明している。バイデン政権は現在、台湾がより「意味のある」方法で国連に参加するための支援に取り組んでおり、中国の怒りを買っている。

中国共産党機関紙人民日報系の英字紙、環球時報は、アメリカとバイデン政権の外交姿勢を批判する痛烈な社説を掲載した。

「現在のアメリカ政府は、史上最も能力が低く、堕落している。アメリカの国力にはもはや相対的な優位性がほとんどないため、米政府が中国に対抗するために貿易と人権のカードを使おうとしても、ほとんど効果がない」と同紙は書いた。

「一方、アメリカが使う台湾カードは、中国にとっても軍事的抑止力として使える諸刃の剣だ。そこでアメリカは別の形で中国を攻撃する『新しい武器』として、この卑劣な言動を思いついた」と記事は続く。

国連の分裂を招くアメリカの台湾支持

環球時報はまた、国連において台湾の味方をするアメリカの取り組みは、国連に「深い分裂」を引き起こし、「実行力を麻痺させる」と警告した。

「アメリカは世界の団結をさらに損なう歴史的な罪を負うことにもなるだろう。だがひとつだけ確かなことがある。アメリカがどれほど頑張っても、台湾が国連に入ることはできないだろう。アメリカがこのばかげた茶番劇で大騒ぎをすればするほど、屈辱は募るだろう」と、社説は結論づけた。

バイデンは10月21日、ボルチモアで行われたCNN主催の市民との対話集会で、アメリカは必要に応じて台湾を軍事的に支援すると発言した。

「それはつまり、中国が台湾を攻撃した場合、アメリカは台湾を防衛するということか」と司会のアンダーソン・クーパーはバイデンに尋ねた。

「そうだ。われわれにはそうする責務がある」と、バイデンは答えた。

クーパーからの質問に先立ち、バイデンは「中国との冷戦は望んでいない。私はただ、われわれが一歩も引くつもりはないことを中国に理解させたい。この見解を変更するつもりはまったくない」と語った。

このバイデンの発言に対して、中国は台湾に対する姿勢についていかなる譲歩もしないと誓った。

外務省の汪文斌(ワン・ウエンビン)報道官は、「中国の主権と領土の一体性やその他、中国の核心的利益の問題に関しては、中国が妥協したり譲歩したりする余地はない。そして、中国国民が国家主権と領土の完全性を守る強い決意、確固たる意志、強い能力を過小評価すべきではない」と述べた

ニューズウィーク日本版 ハーバードが学ぶ日本企業
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月30日号(9月24日発売)は「ハーバードが学ぶ日本企業」特集。トヨタ、楽天、総合商社、虎屋……名門経営大学院が日本企業を重視する理由

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、新STARTの1年延長を米に提案 来年

ビジネス

米追加利下げ余地「限定的」、インフレ高止まりで=セ

ビジネス

FRB追加利下げは年内不要、インフレ懸念で─アトラ

ワールド

米下院議員団、中国国防相と異例の会談 軍の交流強化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがたどり着ける「究極の筋トレ」とは?
  • 3
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 6
    「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世…
  • 7
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 8
    米専門職向け「H-1B」ビザ「手数料1500万円」の新大…
  • 9
    トランプに悪気はない? 英キャサリン妃への振る舞い…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「コメの消費量」が多い国は…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 4
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 7
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 8
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中