最新記事

ノーベル平和賞

ノーベル平和賞は香港で踏ん張る独立系メディアに

Hong Kong Free Press Could Win Nobel Peace Prize, and Unleash China's Fury

2021年10月7日(木)14時06分
ジョン・フェン

HKFPのトム・グランディ編集長は、本誌に宛てた声明の中で次のように述べた。「(ノーベル平和賞の)候補に推薦されたことを、とても嬉しく思っている。だがこれは、困難な状況の中で報道の自由を守るために闘っている、全てのジャーナリストが推薦されたものだと受け止めている」

「今は表現の自由に対する風当たりが強まり、メディア関係者たちが危険にさらされている。透明性が確保された、自由で開かれた社会の一部として、そして権力者たちの責任を問う役割を果たす存在としてのジャーナリズムの重要性を、全ての人が認識してくれることを願っている」

ノーベル平和賞は8日に発表され、12月10日にはオスロで授賞式が行われる。HKFPのほかに、ノルウェーのノーベル賞委員会に候補として推薦された個人や組織の中には、独裁政権から国外追放されたベラルーシの反体制派指導者スベトラーナ・チハノフスカヤや、ロシアの反政府運動指導者でウラジーミル・プーチン大統領を厳しく批判していることで知られる、アレクセイ・ナワリヌイなどが含まれている。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が続くなか、WHO(世界保健機関)も再び候補として推薦されている。このほかに、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリや、「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命を軽んじるな)」運動(BLM)、国境なき記者団や霊長類学者ジェーン・グドールの名前も挙がっている。

中国を敵に回すことにはなるが

未確認だが、アメリカの複数の議員が香港の民主化運動を候補として推薦したという情報もある。

中国政府寄りの複数の評論家たちは、ノーベル賞委員会に対して、香港の民主活動家たちに平和賞を授与しないよう警告してきた。2010年には、中国の民主活動家である劉暁波にノーベル平和賞が授与されたが、中国政府はこの決定について「ノーベル平和賞の冒とくだ」と批判。これをきっかけに中国とノルウェーの外交関係は悪化し、劉が2017年に死去するまで緊張関係が続いた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

サウジアラムコ、第1四半期は減益 配当は310億ド

ビジネス

再送任天堂、今期中にスイッチ後継機種を発表へ 営業

ワールド

英軍関係者の個人情報に不正アクセス、中国が関与=ス

ビジネス

植田日銀総裁が岸田首相と会談、円安「注視していくこ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中