最新記事

欧州

EU、バルカン6カ国の加盟を確約 中ロの影響牽制する狙いも

2021年10月7日(木)08時55分
欧州連合(EU)の旗

欧州連合(EU)加盟27カ国は6日、スロベニアで開いた首脳会議で、セルビアやアルバニアなどバルカン諸国6カ国の将来的なEU加盟を確約した。5月撮影(2021年 ロイター/Yves Herman)

欧州連合(EU)加盟27カ国は6日、スロベニアで開いた首脳会議で、セルビアやアルバニアなどバルカン諸国6カ国の将来的なEU加盟を確約した。18年前の確約を改めて確認した格好だが、移民・難民問題への警戒から2030年の加盟を目指すとする期限は設定しなかった。

EU首脳は、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、北マケドニア、コソボ、アルバニアの6カ国について、司法改革や経済状態を含む基準を満たせばEUに加盟できるとの見解で一致。声明で「EUは拡大プロセスへのコミットメントを改めて確認する」とし、「西バルカン諸国の欧州的な展望に対する揺るぎない支持」を表明した。ただ、これらの国の「信頼できる改革」や「公正で厳格な条件」などを注視するとも明記した。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、バルカン諸国を「家族」と表現。フランスのマクロン大統領も、バルカン諸国は「欧州の中心部」であり、EU加盟への道を開くに値すると述べるなど、融和的な姿勢を示した。

ただ、ドイツのメルケル首相とオランダのルッテ首相らは加盟期限の設定に反対。議長国のスロベニアは2030年までの加盟を目指すことで合意するよう呼び掛けていたが、今回の首脳会議では期限の設定は見送られた。

EUのミシェル大統領とマクロン大統領も記者会見で、EU加盟国の数が現在の27カ国から33カ国に増えれば、EUとしての意思決定が一段と複雑になり、EU改革が迫られるとの認識を示した。

EU首脳は首都リュブリャナ近郊のブルド城で行われた5日の夕食会で、中国、アフガニスタン、米国などに対するEU外交政策について討議。世界銀行によると、バルカン諸国の国際貿易に占める中国の割合は現在は約8%にとどまっているが、インフラ投資計画への大規模な出資を提案。ロシアはバルカン諸国との歴史的なつながりを利用しEUと米国の関与を排除しようとしており、バルカン諸国のEU加盟に反対している。

こうした中、一部EU首脳は、EUはバルカン諸国から外交政策に着手する必要があると主張。ラトビアのカリンス首相は、バルカン諸国は「われわれの裏庭だ」と述べたほか、オーストリアのクルツ首相は「EUがこの地域に注目しなければ、中国、ロシア、トルコなどの大国が大きな役割を果たすことになる。この地域は地理的に欧州に属しており、欧州的な展望が必要になる」と述べた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米総合PMI、12月は半年ぶりの低水準 新規受注が

ワールド

バンス副大統領、激戦州で政策アピール 中間選挙控え

ワールド

欧州評議会、ウクライナ損害賠償へ新組織 創設案に3

ビジネス

米雇用、11月予想上回る+6.4万人 失業率は4年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「日本中が人手不足」のウソ...産業界が人口減少を乗…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中