最新記事

南シナ海

<南シナ海>米英空母含む6カ国軍の合同演習、中国海軍が追尾していた

China Warships Shadow U.S. and Allied Naval Groups in South China Sea

2021年10月6日(水)16時26分
ジョン・フェン
東シナ海の6カ国軍事演習

沖縄近海に集結した自衛隊のヘリ空母「いせ」と米英3隻の空母(10月5日) Weapons of the World/YouTube

<衛星画像の分析で、南シナ海で中国の軍艦が米英の空母打撃群を追尾していたことが明らかになった>

南シナ海で行われた6カ国による共同訓練を前に、中国海軍が、米英軍の空母打撃群を追尾する目的で軍艦を展開したとみられることが、衛星画像の分析により10月5日になって判明した。

ベトナム、ホーチミン在住の海事評論家、ズアン・ダンがツイッターに掲載した衛星画像を見ると、米海軍カール・ヴィンソン空母打撃群と、英海軍のクイーン・エリザベス空母打撃群の艦船が5日、フィリピン西岸の沖合を航行している様子がわかる。


この画像で、英国の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」は、台湾とフィリピンの間に広がるルソン海峡の西側に位置している。一方、米海軍の空母「カール・ヴィンソン」は、領有権をめぐる争いが起きているスカボロー礁の北側を航行している。この環礁はフィリピンが領有権を主張しているが、中国が実効支配していると、ニュースレター「サウス・チャイナ・シー・ブリーフ」を発行しているズアンは解説する。

ズアンの公開した画像には、両国の空母打撃群を少し離れた場所から監視している「国籍不明」の軍艦が映っている。これらの船舶は、南シナ海に展開する人民解放軍の南海艦隊に属する可能性が高いとみられる。


一部始終を監視

ズアンはさらに、今後2週間続く複数の海上演習についても触れた。英国防省は5日、英海軍の空母クイーン・エリザベスが、友好国である米国、日本、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、計5カ国の艦艇および航空機と共同で訓練を行うと発表した。中国海軍の戦艦が、この共同訓練の一部始終を監視するものとみられている。

米国および同盟国の艦隊は、4日に南シナ海に到着する以前にも、10月2、3日の2日間にわたり、台湾の東および日本の沖縄の南西にあたる西大西洋の海域で、連携強化の合同訓練を行った。中国政府はこれらの訓練を自らへの挑戦と受け止めたようで、これに対する反応として、軍用ジェット機や核弾頭の搭載が可能な爆撃機を多数、台湾南西の空域に飛行させた。

日本の海上自衛隊が公開した写真には、10月2日から3日の週末にかけて実施された共同訓練に参加した米国、日本、英国、カナダ、ニュージーランド、オランダの船舶に加えて、米軍のロナルド・レーガン空母打撃群の姿が映っている。オランダ海軍のフリゲート艦「エファーツェン」は母港に帰還する途中で、訓練に参加するのはこれが最後となる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、リオ・ティント株売却 資源採取産業から

ワールド

ドイツ外相の中国訪問延期、会談の調整つかず

ビジネス

ヘッジファンド、AI関連株投資が16年以来の高水準

ワールド

ロシア、米欧の新たな制裁を分析中 国益に沿って行動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼稚園をロシアが攻撃 「惨劇の様子」を捉えた映像が話題に
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 8
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中