最新記事

米中関係

米サリバン大統領補佐官、中国の楊国務委員とスイスで6日会談へ

2021年10月6日(水)09時45分
サリバン米大統領補佐官

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当、写真)が5日と6日に中国の楊潔チ国務委員とスイスで会談すると、サウス・チャイナ・モーニング・ポストが複数の関係筋の情報として報じた。写真はワシントンで6月撮影(2021年 ロイター/Leah Millis)

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が6日にスイスのチューリヒで中国の楊潔チ国務委員と会談することが5日、明らかになった。

米ホワイトハウスは声明で「中国との競争を責任ある形で管理する取り組みが継続される中、サリバン氏と楊氏は、9月9日に実施された米中首脳の電話会談のフォローアップを行う」とした。

サリバン氏が楊氏と対面形式で会談するのは、3月に米アラスカで実施された会合以来初めて。同会合にはブリンケン国務長官も参加した。ブリンケン氏は6月に楊氏と電話会談を行い、新型コロナウイルスの起源を巡る調査への協力のを呼び掛けると同時に、新疆ウイグル自治区を巡る人権問題や香港、台湾を巡る問題を提起していた。

香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストはチューリヒの会談に向けた調整に詳しい関係者の話として「対話チャンネルを再構築」し、習近平国家主席とバイデン米大統領との「合意を実行する」ことが会談の目的だと報じた。

ホワイトハウスは、サリバン氏がブリュッセルとパリも訪問するとも発表。北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)当局者と会談するほか、楊氏との会談内容を欧州のパートナー国などに説明する。

バイデン政権は、香港、新疆ウイグル自治区の人権問題や新型コロナウイルスの起源などを巡り、中国に圧力をかけており、両国関係は冷え込んでいる。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙「環球時報」は論説記事で、中国は互恵的な通商関係を米国と築く用意があるが、原理原則を巡って譲歩することはなく、対立が長期化することを恐れないと主張した。

「中米貿易戦争は、3年半以上も続いている。中国の経済は弱体化するどころか、米経済の規模に比べて前進している」と論じた。

両国はバイデン政権の発足後、アラスカと天津で対面の高官協議を実施したが、具体的な成果は出ていない。ただ、アナリストは両国が高官級会合を重ねれば、互いに報道記者の取材許可を再び拡大したり、閉館された四川省成都市の米国総領事館とテキサス州ヒューストンの中国総領事館を再開するといった形で、何らかの進展が得られる可能性があるとの見方を示している。

バイデン大統領と中国の習近平国家主席の対面形式での会談実現の場として、今月末にイタリアのローマで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議が一つの機会になるとの見方が出ているが、習主席は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)発生以降、国外に出ていない。

米ジャーマン・マーシャル・ファンドのアジア専門家、ボニー・グレイサー氏は「米中首脳会談の実現につながると期待しているが、オンライン形式になる可能性がある」と述べた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、鉄鋼関税50%に引き上げ表明 6月4日

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中