最新記事

宇宙

中国の衛星が3月に軌道上で突然分解......その理由がようやくわかった

2021年8月26日(木)18時45分
松岡由希子

宇宙でのロケット本体の爆発のイラスト ESA

<中国の気象衛星「雲海1号02」が、2021年3月18日に分解した。ロシアの偵察衛星から放出されたスペースデブリと衝突した可能性がある...... >

2019年9月25日に酒泉衛星発射センターから打ち上げられ、高度760〜787キロの軌道を周回していた中国の気象衛星「雲海1号02」が、2021年3月18日7時41分(協定世界時)に分解(ブレイクアップ)した。

米国宇宙軍第18宇宙管制飛行隊(18SPCS)は、3月22日、この事象をツイッターで公表し、「『雲海1号02』の分解に関連するスペースデブリ(宇宙ゴミ)21個を追跡して、原因究明にあたっている」と報告した。

衝突によって発生した37個のデブリを確認

米国宇宙軍のオンラインカタログ「スペース-トラック」では、スペースデブリの観測データが登録されている。米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天体物理学者ジョナサン・マクダウェル博士は、8月15日、デブリ「48078」のデータに「衛星と衝突した」旨が付記されていることに気づいた。「48078」は、1996年9月にロシアの偵察衛星「ツェリーナ-2」を打ち上げた「ゼニット2ロケット」から放出されたスペースデブリだ。

マクダウェル博士は軌道データを分析し、「雲海1号02」が分解したとされる3月18日7時41分に「48078」と「雲海1号02」が1キロ以内に接近していたことを突き止めた

このことから、「48078」に衝突したのは「雲海1号02」である可能性が高い。マクダウェル博士の分析によれば、この衝突によってこれまでに37個のデブリが確認されており、おそらくより多くのデブリが発生したとみられている。なお、「雲海1号02」は分解後も制御下にあり、軌道修正も行われている。

地球周回軌道には約1億3000万個のスペースデブリが存在する

地球を周回する物体同士の衝突はこれまでにも報告されている。2009年2月10日にはシベリア上空約800キロで米国の通信衛星「イリジウム33号」とロシアの軍事通信衛星「コスモス2251号」が衝突し、地球低軌道に大量のスペースデブリが発生した。

5ad11a4b7708e913d07470d11.jpg

地球をスペースデブリが取り囲む NASA's Goddard Space Flight Center/JSC

2020年1月には、ともに運用が終了している天文観測衛星「アイラス(IRAS)」とアメリカ空軍が打ち上げた試験衛星「GGSE-4」が米ピッツバーグ上空で接近し、衝突が危惧された。

欧州宇宙機関(ESA)によると、2021年8月時点で地球周回軌道には約1億3000万個のスペースデブリが存在する。これらは高速で移動しており、宇宙探査機やその機器などに損傷を与えるおそれもあると懸念されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:日本株はイベント後も高値圏、「適温」の異

ワールド

タイ憲法裁、ペートンタン首相の失職認める 倫理規定

ワールド

英財務相は銀行の準備預金利子の課税を、シンクタンク

ワールド

トランプ一族「ビットコイン社会を愛している」 10
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ」とは何か? 対策のカギは「航空機のトイレ」に
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 7
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 8
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中