最新記事

アフガン情勢

米軍、アフガニスタン首都で空爆 ISIS-Kが空港への攻撃計画か

2021年8月30日(月)10時40分
米海兵隊とドイツ軍兵士

米軍はアフガニスタンの首都カブールの空港への自爆攻撃を準備していたとみられる車両を無人機で空爆した。写真は28日、カブールの空港の入り口を監視する米海兵隊とドイツ軍兵士。提供写真(2021年 ロイター/U.S. Marine Corps/Cpl. Davis Harris/Handout via REUTERS)

軍は29日、アフガニスタンの首都カブールの空港への自爆攻撃を準備していたとみられる車両を無人機で空爆した。

米軍による空爆は26日以降2回目。アフガンでは26日、カブールの空港付近で起きた自爆攻撃で米兵13人やアフガンの民間人数十人が死亡した。

同空港では、イスラム主義組織タリバンのアフガン掌握を受けて米国や同盟国が自国民やアフガン人協力者らの退避を進めている。

米当局者によると、今回の空爆は過激派組織「イスラム国」(IS)系の現地組織「イスラム国ホラサン」(ISIS-K)の戦闘員を標的に無人機を使って行われた。ISIS─Kは西側とタリバンの双方と対立している。

当局者は、空爆後に2次的な爆発が起きたことは標的が大量の爆発物を所持ていたことを示していると述べた。テレビの映像では空に向けて黒煙が立ち上がる様子が確認できる。

米中央軍は空爆について認め、民間人に死傷者が出たという報道について調査していることを明らかにした。

「車両が破壊し、大量かつ強力な爆発が発生したことが分かっており、車内に大量の爆発物があったとみられ、さらなる犠牲者が出た可能性がある。何が起こったかは不明で、調査を進めている」と説明した。

バイデン米大統領は28日、カブールの空港で新たな攻撃が実行される可能性が高いと明らかにしていた。

タリバンは米軍による空爆や、その標的が実際に爆発物を積んだ車両を運転し自爆攻撃を企てていたのかどうかなどについて、独自の調査を開始したと明らかにした。

米国と同盟国は、過去2週間に外国人やアフガン人を含め約11万4400人をアフガンから出国させている。

タリバン当局者はロイターに対し、カブールの空港を完全に管理するための準備を進めているとし、米国からの最終的な承認を待っていると述べた。

29日には米デラウェア州の空軍基地で、26日の攻撃で死亡した米兵の追悼式典が行われた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・タリバン大攻勢を生んだ3つの理由──9.11以来の大転換を迎えるアフガニスタン
・タリバンが米中の力関係を逆転させる
・<カブール陥落>米大使館の屋上からヘリで脱出する「サイゴン陥落」再び


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

TICADの政府代表に岸田前首相、「適任」と林官房

ワールド

コラム:トランプ氏、局長解任で墓穴 利下げで市場味

ワールド

カナダ、ガザに援助物資を投下 イスラエルの国際法違

ワールド

豪、次期フリゲート艦に三菱重を選定、日本9年越しの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をディズニーが公開へ? 50周年でオリジナル版「復活」の可能性
  • 4
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 5
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「原子力事…
  • 6
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 10
    すでに日英は事実上の「同盟関係」にある...イギリス…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 10
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 6
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中