最新記事
関税戦争

ブラジル、トランプ関税に対して直接的な報復は当面行わず...輸出業界救済に注力

2025年8月5日(火)08時50分
サンパウロの米国総領事館前で掲げられるブラジル国旗

ブラジル政府は、トランプ米政権が今週発動する「相互関税」に対して直接的な報復措置を講じるのを当面手控え、打撃を受ける輸出業界を救済する政策に注力する。写真はブラジル国旗を掲げ、トランプ氏の関税措置に抗議するデモ参加者。8月1日、サンパウロの米国総領事館前で撮影(2025年 ロイター/Amanda Perobelli)

ブラジル政府は、トランプ米政権が今週発動する「相互関税」に対して直接的な報復措置を講じるのを当面手控え、打撃を受ける輸出業界を救済する政策に注力する。ルラ政権の戦略に詳しい複数の関係者が明らかにした。

ブラジルに適用される「相互関税」は累計で50%。トランプ大統領は自身と関係が近いブラジルのボルソナロ前大統領がクーデター計画の罪で起訴されたことを「政治的な迫害」などと主張し、こうした高関税を課す理由としている。


ただ関税対象からは航空機、エネルギー、鉱業といった同国にとって最も痛手の大きい幾つかの分野が除外され、投資家やビジネス界に安心感が広がった。

複数のブラジル政府高官は、こうした事情もあり、米国との緊張をより高めかねない報復措置に政府は慎重な姿勢を見せていると説明した。

関係者の1人は、対米交渉は時間がかかり複雑になりそうなので、とりあえず輸出関連業界に与信枠や輸出金融などの支援策を提供することを優先すると述べた。

別の高官によると、ブラジル政府として米企業に影響を与えられる対抗策も検討はしているものの、それは交渉が不調に終わった際の最後の手段と見なしているという。

アダジ財務相も1日、ブラジルは米国に対する報復を決して確約はしないと発言している。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2025トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国、北朝鮮に軍事境界線に関する協議を提案 衝突リ

ワールド

バングラデシュのハシナ前首相に死刑判決、昨年のデモ

ワールド

中国、G20での高市首相との会談拒否 台湾発言を問

ワールド

インタビュー:経済対策、補正で20兆円必要 1月利
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中