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米中天津会談、中国猛攻に「バイデン・習近平会談」言及できず──それでも習近平との近さを自慢するバイデン

2021年7月30日(金)12時15分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

バイデン大統領は6月16日にスイスでプーチン大統領と対面で会談した直後、「そう遠くない将来に習近平と会うことになるかもしれない」と示唆している。

7月10日のコラム<「バイデン・習近平」会談への準備か?――台湾問題で軟化するアメリカ>で書いたように、7月6日に「アメリカは中国と平和的に共存できる」、「台湾の独立を支持しない」などと述べたキャンベル国家安全保障会議・インド太平洋調整官は、「バイデンが今年10月にイタリアで開催されるG20で習近平に会う可能性がある」という趣旨の発言をしている。

だから今回の米中天津会談は、バイデンが習近平との(対面での)会談を実現するための赤絨毯を敷くためにアメリカ側が中国側に申し入れたものと受け止められていた。

しかし、中国のあまりの攻撃的な姿勢に、とても「バイデン・習近平会談」の話に触れるところまで至らなかったようだ。

では中国はどのように対米批判を展開したのだろうか?

中国外交部のウェブサイトで謝鋒とシャーマンの対談および王毅とシャーマンの対談 が、それぞれまとめて公表されているので、基本的にこの情報に基づいてご紹介する。

「謝鋒vs.シャーマン」対談:中国の激しい対米攻撃

謝鋒がどのように激しい対米攻撃を行ったか、そのいくつかをピックアップしたい。

●米中関係悪化の根本的な原因は、アメリカの一部の人々が中国を「仮想敵」として扱い、国内の根深い構造的対立の責任を中国に転嫁し、自国民の不満をそらそうとしていることにある。しかし、それによってアメリカが救われることはない。

●アメリカの「競争、協力、対抗」の三分法は中国を封じ込めるための「目くらまし」に過ぎない。対抗と封じ込めが本質であり、協力はその場しのぎ、競争は言葉の罠だ。自分たちが優位に立っていると判断する領域では、友好国を誘い込んでは中国に対してディカップリングを行いブロック化して制裁し、衝突して対立する。アメリカは自己本位で、一方的に利益を得たいだけだ。要するにアメリカは中国に負けたくないだけではないのか。

●中国はアメリカを負かしてアメリカに成り代わって世界制覇をしようなどとは思っていない。アメリカと軍事競争をする気も持っていない。

●アメリカ側の「ルールに基づく国際秩序」の維持とは、アメリカのような一部の国が自分たちの「家族の法律やルール」を国際的なルールと位置付けて他国を規制し、自分たちの利益になるようにルールを改ざんしているに過ぎない。中国が強くなることを怖がり、弱肉強食のルールを適用しているだけだ。アメリカは最も反省すべき国であり、自国の民主主義や人権問題に真剣に取り組むべきだ。

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