最新記事

韓国

韓国で、日本製バイクの販売が伸びている理由

2021年7月14日(水)18時07分
佐々木和義

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が拡大し、政府が外食を制限すると、配達需要が急増。配達代行各社がライダーを募集して、就職できない若者や収入が激減した自営業者、残業や会食がなくなって時間ができた会社員などが登録した。

韓国は普通自動車運転免許で125ccまで運転できることから韓国メーカーは100cc級のギア付き商用オートバイに力を入れてきたが、スマートフォンで注文を受けて道順を確かめながら配達するライダーは運転操作が容易なスクーターを好んでいる。その商用利用が可能な110-125cc級のスクーターはホンダとヤマハが充実している。

また、あるライダーは、韓国製オートバイは登録から2年を過ぎると市場価値はほとんどないが、輸入オートバイなら相応の値段で売却できると話す。日本製は韓国製より高額だが、燃費、維持費、数年後の売却額など、実質的な負担が小さいという。

最も人気が高いのはホンダのPCX125で、ヤマハのNMAXを選ぶ人も多い。20年8月-9月に韓国の価格比較サイトで販売されたスクーターの69%がPCXだった。21年2月、韓国メディアが新型の21年式PCX 125が高額だと批判した。韓国価格は434万ウォンで、日本価格30万9800円(約324万2000ウォン)より100万ウォン以上も高かったのだ。

日本製なら価格差に納得できるが、同モデルはベトナム製で、輸送コストは韓国の方が安いので、韓国価格は暴利だと批判した。ホンダコリアは、日本向けの排ガス基準はユーロ4だが、韓国向けはユーロ5なので、価格差が生じると説明した。

スーパーカブも若者を中心に人気

ホンダのスーパーカブもクラシックなデザインから若者を中心に人気がある。110cc級のスーパーカブは2020年1月、個人売買サイトの中古ナラで、120万ウォン前後で取引されていたが、同12月には210万ウォン台に高騰した。新車は注文から納車まで2か月待ちとなっている。

通勤用に日本製商用オートバイを購入する人たちもいる。他人との接触を避けて、通勤手段を電車・バスからオートバイに切り替える人が増え、燃費がよく耐久性が高い日本の商用オートバイを選んでいる。

韓国メーカーは、電気二輪車の開発を進めるが、配達最大手の「配達の民族」が、配送効率が悪いとして導入を見合わせるなど、日本製二輪自動車による席巻はしばらく続くとみられている。


コロナ禍で配達需要が急増

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=5営業日続伸、感謝祭明けで薄商い イ

ワールド

米国務長官、NATO会議欠席へ ウ和平交渉重大局面

ワールド

エアバス、A320系6000機のソフト改修指示 運

ワールド

感謝祭当日オンライン売上高約64億ドル、AI活用急
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 6
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 9
    エプスタイン事件をどうしても隠蔽したいトランプを…
  • 10
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中