最新記事

国家安全法

香港警察、リンゴ日報幹部5人を国安法違反で逮捕 米欧が懸念表明

2021年6月18日(金)09時07分
香港警察が「蘋果日報(リンゴ日報)」本社編集局を捜索した。

香港警察は、香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで、香港紙「蘋果日報(リンゴ日報)」の幹部5人を逮捕したほか、500人態勢で本社編集局を捜索した。写真は蘋果日報が提供(2021年 ロイター/ Apple Daily)

香港警察は17日、香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで、香港紙「蘋果日報(リンゴ日報)」の幹部5人を逮捕したほか、500人態勢で本社編集局を捜索した。

警察は幹部5人を外国もしくは外部勢力と結託した疑いで逮捕したと発表。逮捕者の氏名は明らかにしていない。

蘋果日報によると、午前7時半ごろに100人ほどの警官が新界にある本社に現れ、一帯を封鎖。編集長、最高経営責任者(CEO)、最高執行責任者(COO)など5人を逮捕した。

同紙オーナーで中国政府に批判的なことで知られる黎智英(ジミー・ライ)氏は既に国安法の下で資産を差し押さえられているほか、違法集会に参加した罪で服役している。

警察は捜索の目的について、記者の電話やコンピューターなどから証拠を集めるためと説明。2019年までさかのぼったところ、同紙の数十本の記事が国安法に違反した可能性があるとした。最新の記事がいつのものかは明らかにしなかった。

警察当局の李桂華高級警司は蘋果日報本社前で記者団に対し、「記事の性質は非常にシンプルだ。外国を駆り立て、香港や中華人民共和国への制裁発動を求めている」と述べた。メディアの記事が国安法違反に問われる可能性があると当局が指摘したのは初めて。

また、蘋果日報と関連する3社の資産1800万香港ドル(232万米ドル)を凍結したことも明らかにした。捜索はメディア業界全体を対象としたものではないとも語った。

今回の逮捕などについて、欧州連合(EU)と英国は、中国が治安対策ではなく、反体制派を取り締まり、メディアを沈黙させるために国安法を利用していることを示すと懸念。

米国務省のプライス報道官は、「香港当局が国安法を都合よく利用し、独立メディアを恣意的に標的にしていることを深い憂慮している」と指摘。「外国もしくは外部勢力との共謀容疑は完全に政治的な動機によるものだろう」と述べた。

*写真を付けて再送します。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

UAE、イスラエルがヨルダン川西岸併合なら外交関係

ワールド

シリア担当の米外交官が突然解任、クルド系武装組織巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中