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米韓関係

文在寅に「勝利」を与え、インド太平洋戦略に韓国を取り込んだバイデンの成功

Beyond the Korean Peninsula

2021年5月31日(月)16時15分
ガブリエラ・ベルナル

実際、バイデンは今回の首脳会談で、文が韓国国内に誇れる大きな勝利を与えた。1979年以降、韓国のミサイル開発と使用を制限してきた米韓ミサイル指針の撤廃に合意したのだ。つまり韓国は今後、朝鮮半島を大きく超える飛行距離のミサイルを開発して、防衛能力を一段と強化できる。

こうしてバイデン・文会談の結果、韓国はもはや躊躇なく、インド太平洋地域で政治的影響力を高めるとともに、この地域でアメリカの主たる外交パートナーとしての立場を強化する姿勢を明確に打ち出すことになった。

アメリカと韓国は、北朝鮮問題で日本との協力も不可欠とみている。毎年6月にシンガポールで開かれるシャングリラ・ダイアローグで、日米韓の国防担当閣僚の会談が実現するかと思われたが、コロナ禍で開催中止が決定。日米韓協議を模索する新たな動きが進んでいる。

米韓同盟は、長年、インド太平洋地域の平和と安定の基軸になると言われてきた。今回の米韓首脳会談は、両国がこの同盟の真価を発揮するべく、重要なステップを踏み出したことを内外に印象付けることになった。

©2021 The Diplomat

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