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アジアの米軍を削減せよ──「居留守」ホットラインで圧力をかけ始めた中国

China Tells U.S. to Scale Back Asia Forces Amid Rising Tensions

2021年5月28日(金)19時05分
ジョン・フェン

譚克非は27日の会見で、「中国とアメリカの軍は常に、両国の国防省同士の直接電話を含む複数のチャンネルを通して連絡を保っている」と確認。「ホットラインは信頼の醸成、疑念の払拭、危機への対応や紛争の防止のためにあると考えている」と述べた。

譚克非はさらに「アメリカは防衛ホットラインの増設を主張する一方で、アジア太平洋の軍事力配備を強化し続け、中国への接近偵察を頻繁に展開し、さらには意図的に艦船や航空機の危険なニアミスを起こすようなことをしてはならない」と主張した。「我々はアメリカに対して、言行を一致させ、誠意を示し、対話を増やして中国と互いに歩み寄り、意見の相違に対処して、両軍関係の健全で安定した発展を促進するよう求める」

ロイター通信は先週、ロイド・オースティン米国防長官が中国軍幹部の許其亮と何度も接触を試みたものの、まだ対話ができていないと報じた。中国政府内でオースティンと対等の地位にいるのは魏鳳和国防相だが、習近平国家主席が率いる中央軍事委員会の副主席である許其亮の方が権限が大きく、習近平に対する影響力も大きいとみられている。

バイデン政権の当局者はロイター通信に対して、アメリカは「適切なレベルでの対話」を望んでいるだけだと語った。

習近平と側近に権力集中

26日にスタンフォード大学のイベントで演説を行ったキャンベルも、同様の見解を示した。キャンベルは、習が2012年に国家主席に就任して以降、「約40年にわたって続いてきた集団指導体制をほぼ完全に解体した」と指摘。その結果、楊潔篪共産党政治局員や王毅外相(3月にアラスカでの会談で米当局者らと衝突した2人)はもはや、習近平の側近集団には「遠く及ばない」存在になったと述べた。

バイデン政権のインド太平洋調整官であるキャンベルはまた、中国に関与するというこれまでのアメリカの政策は終わったとも指摘。「今後は競争が主要な枠組みになっていくだろう」と述べた。

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