最新記事

言論

中国が「密告ホットライン」を開設、ネット民に告げ口を奨励

China Encourages Citizens to Report Each Other for 'Mistaken Opinions'

2021年4月20日(火)16時38分
ローレン・ギエラ

ケネディは、中国の一般市民がどのようにしてホットラインを使うのか、そもそも実際に使うのかは分からないと述べた。その上で、ホットラインは人々が「自分が共産党や習近平を熱心に支持していることをアピールするため」に使ったり、共産党をあまり熱心に支持していない人や個人的に恨んでいる人を「告げ口するため」に使うかもしれないと指摘した。

だが彼は、大勢の人がホットラインを利用することはないだろうと考えている。「おそらく大半の人は、関わりを持ちたくないと考えて(ホットラインの存在を)無視するだろう」と彼は言う。「中国の人々は、こうした形で政治的な意思表明をするのは避けたいと考えている。リスクが高いからだ」

ロイター通信によれば、中国では2月に刑法が改正され、中国の英雄や殉教者を「侮辱または誹謗」した者に最高3年の禁錮刑を科す条項が追加された。

2月にはニューヨーク・タイムズ紙が、中国で「言論犯罪」として取り締まりを受けた事例のリストについて報じた。オンラインで公開されているこのリストには、過去8年間にオンラインまたはオフラインでの発言を理由に中国政府が処罰を行った事例が掲載されており、その数は2000件近くにのぼっている。リストにはそれぞれの事例について、処罰の具体的な内容やそれを報じた記事へのリンクなども含まれている。

警察官に悪態をつくのも「犯罪」

リストによれば、新型コロナウイルス感染症について発言した複数の人物や、2020年に中国とインドの国境地帯で発生した両国軍の衝突について(中国政府の発表に)疑問を呈したジャーナリスト、警察を「狼」や「ろくでなし」と呼んだ人々や、駐車違反の切符をきられて警察官に悪態をついた人々などが「罪を犯した」と見なされた。

このリストを作成したのは若い男性で、ニューヨーク・タイムズの取材に対して姓を「ワン(Wang)」と名乗っている。彼は2019年からリストの作成を始め、ツイッター上で「中国が市民の言論の自由を侵害している事例について情報を集め、それを公開する」活動を活発に展開している。

ワンは@SpeechFreedomCNのユーザーネームで開設しているツイッターのアカウントで、こう述べた。「中国に言論弾圧があることは知っていたが、ここまでひどいとは思っていなかった」

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:アマゾン熱帯雨林は生き残れるか、「人工干

ワールド

アングル:欧州最大のギャンブル市場イタリア、税収増

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中