最新記事

クーデター

ミャンマー国軍、市民の遺体引き取りに現金要求か バゴー市、大学生含む多数の犠牲者が放置されたままに

2021年4月12日(月)20時12分
大塚智彦

9日、バゴー市内の道路に築かれた市民のバリケードに国軍は重火器で攻撃を仕掛けた。RFA Burmese/YouTube

<ロケット砲や迫撃砲まで使用した国軍による攻撃で市民80人以上が死亡、200人以上が行方不明となったバゴー市。しかし悲劇はさらに続いている──>

国軍による市民への無差別発砲により少なくとも80人が死亡したミャンマーのバゴー市。1都市で1日に発生した犠牲者としては2月1日のクーデター発生以来最多となる惨事から3日経った12日も依然として国軍による厳戒態勢が敷かれている。

そんななか、犠牲になった家族の遺体を引き取って埋葬を希望する市民に対して、国軍が「現金を支払えば(遺体を)返還する」として金銭を要求しているとの情報が現地では流れているという。

大学生を含む非武装無抵抗の市民に対して実弾発砲のほか、腹部を刺された遺体も見つかるなど兵士による残虐な殺害行為が明らかになり、「組織的な虐殺が行われた」として人権団体や国際社会からなどからは国軍への非難が強まっている。

4月9日、中心都市ヤンゴンの北98キロにある観光地として知られている古都バゴー市で、反軍政デモなどの抵抗運動をしていた市民多数に対し、兵士約250人が退路を断つように包囲して、午前4時過ぎから無差別攻撃を始めた。

現地からの映像や動画によると、バゴー市内のポナスやナンタウェイなど4地区の道路に市民が築いた土嚢やバリケードに対して軍はまずロケット砲などを発射してそれを破壊。その後兵士による銃火器での実弾射撃が始まり、その結果多くの犠牲者がでた。

現場で発見回収されたロケット砲の破片とみられる部品もネット上で公開され、重火器による攻撃を裏付けているという。

地元のメディア「イラワディ」は犠牲者の中には地元バゴー大学の19歳の数学科1年生の大学生など3人が含まれ、さらに2人の大学生が現在も行方不明となっているという大学当局の話しを伝えている。

また銃撃による多くの犠牲者のほかに腹部に刺し傷のある遺体もあったことから、拘束後に兵士から暴力を受けた末の死者も含まれていることも明らかになったと「イラワディ」は伝えている。

少なくとも80人以上とみられる犠牲者の遺体の多くは家族が軍のさらなる発砲を恐れているか、あるいは難を逃れて郊外に避難しているため、その多くが現在も放置されたままの状態であるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

衆院選きょう投開票、自民が終盤まで優勢 無党派層で

ワールド

イスラエル首相、トランプ氏と11日会談 イラン巡り

ビジネス

EXCLUSIVE-米FRB、年内1─2回の利下げ

ワールド

北朝鮮、2月下旬に党大会開催 5年に1度の重要会議
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 3
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本版独占試写会 60名様ご招待
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 6
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 7
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 8
    心停止の8割は自宅で起きている──ドラマが広める危険…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中