最新記事

日米同盟

中国の環球時報「日本が台湾問題でアメリカに付くなら重大な結果に直面する」

China Media Warns Japan Against Siding With U.S. Over Taiwan

2021年4月1日(木)16時08分
ジョン・フェン
日本の菅義偉首相

来週、訪米予定の菅首相は台湾問題についてどんな約束をするつもりなのか Kiyoshi Ota/Pool via REUTERS

<来週に予定されるバイデン米大統領と日本の菅首相の会談を前に、アメリカとの防衛協力強化をめざす日本に中国が反発>

台湾をめぐる中国とアメリカの対立が激しさを増すなか、中国共産党系機関紙人民日報系のタブロイド紙「環球時報」が日本に向けてメッセージを発信した。台湾問題でアメリカの側につくならば、日本は「重大な」結果に直面することになるだろうと警告したのだ。

Nikkei Asiaの報道によれば、日本の菅義偉総理大臣とアメリカのジョー・バイデン大統領は、4月上旬にワシントンで開く日米首脳会談の際に出す共同文書で、台湾海峡の安定が重要だとの認識を明記する方針だ。環球時報は3月30日付の論説の中で、そのような共同声明は日中関係を「確実に」悪化させると主張した。

論説の筆者は、台湾について立場を表明することにした日本政府の決定は「中国の国益を損ねる」と主張。「菅・バイデンが首脳会談後に出す共同声明の中に、台湾に関する記述が含まれれば、その打撃は大きいだろう」と警告した。

同論説はさらに「中国は対抗策を取るつもりだ」と述べ、米政府の立場を支持するならば「日本としては、得るものよりも失うものの方がずっと大きいだろう」と続けた。バイデンの大統領就任以降、中国が台湾に軍事的圧力をかけ続けるなか、米政府は台湾を支持すると繰り返し表明している。

台湾有事には日本もアメリカに協力

中国政府の中でも強硬派の見解を反映していることで知られる環球時報は、日米が共同声明に台湾の安全保障問題を明記した場合に、中国政府がどう反応するかの詳細は明かさなかった。3月30日付のNikkei Asiaは、日米首脳が台湾について共同文書で言及するのは約50年ぶりだと伝えている。

中国共産党が中国の一部だと主張している台湾は、何十年にもわたってアジアにおけるアメリカの非公式なパートナーであり、現在は日本にとっても最も近しい同盟相手のひとつだ。中台間で紛争が勃発すれば、周辺地域の他の国々にその影響が及ぶことは避けられないだろう。中でも日本は、最西端の与那国島が台湾の東岸から約111キロと近いため、大きな影響を受けるだろう。

台湾海峡の平和と安定については、3月に日本の茂木敏光外務大臣、岸信夫防衛大臣とアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官、ロイド・オースティン国防長官の間で行われた日米外務・防衛閣僚会議(いわゆる2プラス2)後の共同声明でも言及された。

同閣僚会議後に共同通信が報じた未確認の情報によれば、日本政府は中台間で軍事衝突が起きた際には米政府と緊密に協力することに合意した。両者の衝突が地域の安定に及ぼす影響を強調したかたちだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ紛争、エスカレートさせないよう米に望む=

ビジネス

2%物価上昇まだ定着せず、持続的達成を日銀に期待=

ワールド

トランプ氏は「被害少女知っていた」と米富豪記述、資

ワールド

豪10月就業者数は予想以上に増加、失業率も低下 利
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 4
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 10
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中