最新記事

パンデミック

新型コロナ、回復患者の3分の1が精神・神経疾患を発症=オックスフォード大学

2021年4月7日(水)11時16分

英オックスフォード大学の精神科医などの研究チームは、新型コロナウイルス感染症から回復した患者の3人に1人が6カ月以内に精神・神経疾患を発症しているとの研究結果を発表した。1月、英ミルトン・キーンズの大学病院で撮影(2021年 ロイター/Toby Melville)

英オックスフォード大学の精神科医などの研究チームは6日、新型コロナウイルス感染症から回復した患者の3人に1人が6カ月以内に精神・神経疾患を発症しているとの研究結果を発表した。コロナの世界的流行で精神や神経障害の事例が増える可能性を示している。

研究では米国を中心にコロナ患者23万6379人の診療データを分析し、そのうち34%が6カ月以内に精神・神経疾患を発症していると診断されたことが分かった。論文は医学誌「ランセット精神医学」に掲載された。

研究チームは、検証した14種類の精神障害のうち、最もよく見られたのは不安障害とうつ病だったと説明。ただ、新型コロナウイルスとの因果関係は不明だという。

脳卒中、認知症などの神経障害は発症確率が低めだったが、それでもコロナが重症化した患者を中心にかなりの割合で見られたとした。

研究を主導したオックスフォード大の精神科医、マックス・タケ氏は「コロナ感染症回復後はインフルエンザや他の呼吸器感染症よりも精神・神経疾患が多く見られることが研究で判明した」と説明。

このような後遺症が発症する仕組みは特定できなかったとした上で、「予防と治療のために」仕組みを特定する研究が緊急に必要になっているとした。

同じ研究チームは昨年、コロナ感染症から回復した患者の5人に1人が3カ月以内に精神疾患を発症しているとの研究結果を発表していた。

新たな研究では、不安障害の発症確率は17%、うつ病を含む気分障害は14%で、最も高かった。コロナ感染症の症状の重さとは関係がないようだった。

コロナが重症化し、集中治療室(ICU)で治療を受けた患者のうち、7%が6カ月以内に脳卒中を起こし、約2%が認知症と診断された。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-TOPIX採用企業は今期6.6%減益予想、先

ワールド

焦点:シリア暫定大統領、反体制派から文民政府への脱

ワールド

台湾輸出、10月はAI好調で約16年ぶり大幅増 対

ワールド

韓国当局者、原潜は国内で建造 燃料を米国から調達の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中