最新記事

感染症対策

チリ、コロナワクチン接種戦略変更 有効性踏まえ2回目接種を優先

2021年4月24日(土)11時01分

諸外国は今、より多くの人々が早く一定の免疫を付けられるよう、1回目と2回目の接種の間隔を空けている。しかしパリス保健相によると、チリは現在2回目の接種を優先しており、今週は2回目の接種を76万回施すのが目標だ。

これは、シノバック製ワクチンを1回接種しても有効性が低いことを示すデータに対応した措置。チリが先週公表した独自の分析結果によると、1回の接種による感染防止の効果はわずか16%で、入院を防ぐ効果は36%だった。

「2回目の接種を行っていなければ、状況はもっと悪くなっていただろう」とパリス氏は言う。

これに対し、米疾病対策センター(CDC)によると、ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンは、1回目の接種から2週間以上たった時点で感染リスクが80%低下した。

チリ政府によると、新型コロナワクチンの公平な供給を目的とした国際的な枠組み「COVAX」により、今後数週間中にファイザー・ビオンテック製ワクチンが28万回分、英アストラゼネカ製が80万回分到着する予定だ。

シノバックに発注済みの1420万回分のうち、今後到着するのは残り70万回分。政府はこの他にもインドやロシアからの供給確保に取り組んでおり、接種計画を今後も円滑に進めたいとしている。

政府の新型コロナワクチン確保責任者、ロドリゴ・ヤネズ氏は16日ロイターに対し、同国の迅速な接種戦略は、ワクチン製造業者に自社製品を試すための「魅力的な跳躍台」を与えたと指摘し、今後も順調に供給を得られるとの自信を示した。

ヤネズ氏のチームはシノバックに400万回分の追加供給を求めているほか、アストラゼネカから直接購入した400万回分も5月から到着し始めるとの見通しを示した。

ヤネズ氏は「さまざまなワクチンが入れ代わり立ち代わり供給される計画だ。年央までに集団免疫を獲得できると自信を持ち、楽観視している」と語った。  

(Aislinn Laing記者)



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アマゾン、売上高見通し予想上回る クラウド好調で株

ビジネス

米アップル、7─9月期売上高と1株利益が予想上回る

ビジネス

NY外為市場=円が対ドルで154円台に下落、日米中

ワールド

米副大統領「核戦力検証は安保に重要」、トランプ氏の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面に ロシア軍が8倍の主力部隊を投入
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 10
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中