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「中露朝韓」急接近!──ラブロフ外相訪中「モスクワ便り」

2021年3月26日(金)14時03分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)


バイデン政権の本質は、反露・反中であることは明確なので、これは必然的に更に中露の関係を強めていきます。ラブロフ外相自身、訪中に先立って「ロシアにとっての戦略的最重要パートナーは中国である」と言い切っており、もはや同盟成立をも辞さないトーンになりつつあるように見受けられます。

ロシアは、米国とは頻繁に対立しても、欧州とはうまくやってきたし、欧州に現実的かつ大局観ある政治家もいましたが、この欧州との関係が近年稀にみるほどに悪くなっています。西とうまくできないことが明確な中、唯一の同志が中国という訳です。

実を言いますと、ロシア国民は元々中国や中国人が好きではありませんが、中国同様、国民が政治や外交を決める国ではありません。米国流価値観への挑戦は長年ロシアが言い続けてきたことではあるし(多くの点で米国自身に問題があることも確かです)、ようやく中国もそれが分かってきたか、という思いさえあります。

ロシアにいて、今懸念している材料はウクライナ問題です。ロシアから東ウクライナのドンバス地方の紛争を激化させるつもりはないと考えていますが、ウクライナの現政権の支持率急落、その一方でバイデン政権がウクライナへの軍事支援を拡大する方針を打ち出していることに力を得て、「ウクライナ+米国」、そして英国までがこの挑発行為をするのではないかという見方がここではあります。中国のウィグル、香港、台湾の問題などと違って、今も紛争地域がそのまま残っており、ウクライナ側の対応如何では軍事紛争が拡大します。

一方、このウクライナへの接近を中国も図っていました。特に軍事、ロケットと航空技術の分野で、金に困っているウクライナの事情につけ込み、航空機エンジンの会社の買収を企てましたが、米国によって阻止されました。今のウクライナ政権は米国の支持なしには持ちませんので、当然の対応ですが、中国はどう出るか、「もうウクライナと手を握ることはない」くらいの対応になるでしょう。米国の影響力が更に強まっていますし。こうなると、ウクライナを巡っては利益相反があったロシアと中国が更に結びつきを強めると思われます。

中国は、2014年のクリミア併合を未だに国家として承認はしていませんが、ロシアのメデイア等(当然政権の代弁者ではあります)では、中国も米国の一連の理不尽な対応を見て、ロシアとの関係強化を打ち出すためにクリミア併合承認に動き出す可能性がある、というような気の早い報道もありました。

余談ですが、プーチン大統領はバイデンが彼を「殺人者と思う」というコメントに対し、冷静な対応を見せて、間にメデイアなどを入れず、直接オンラインでつないで衆人環視の下で「明日にでも議論しようではないか」と言いました。バイデンのディベート下手を見透かしてのことではあります。こういう即興での会談では頭の回転の速さと弁舌のうまさの差がはっきりと出ます。この点では、勝負にならないでしょう。

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