最新記事

アジア人差別

アトランタ銃撃、容疑者が性依存症でも動機がアジア人差別でなかったことにはならない

Atlanta Attack Exposes Dangerous Sexualization of Asian Women

2021年3月19日(金)16時33分
スー・キム

女優のジェンマ・チャンは今回の事件について、インスタグラムに次のように投稿した。「いま起こっていることに目を向けて欲しい。アジア系コミュニティーに対する恐ろしい攻撃が増えていて、今回の事件はその一例にすぎない。人種差別と女性嫌悪は相反しない。実際に私たちは、性的な理由による人種的嫌がらせや暴力を日常的に目の当たりにしている」

さらに彼女はこう続けた。「アジア系住民を非人間的に扱うのはやめるべきだ。新型コロナウイルス感染症をアジア系住民のせいにするのはやめるべきだ。私たちは団結して、あらゆる形の憎悪に抵抗していく必要がある」

ツイッターユーザーの@cmliwagdixonは、次のように投稿した。「アジア系女性を性の対象として見る動きが、私たちが直面している暴力の大きな原因だ。私自身も街で複数の男に『ずっと好きだった』と詰め寄られた経験や、金銭と引き換えに『幸せになるマッサージ』をしてくれと言われた経験がある。アジア系だからという理由で殴られた経験もある」

この投稿はツイッター上であっという間に広まり、17日に投稿されて以降、23万4000件を超える「いいね」がついている。

アジア系女性はモノとして見られてきた

@cmliwagdixonはその後の投稿でさらに、「アジア系女性は、モノや戦利品として見られたり扱われたりすることがあまりに多い。メールオーダーの花嫁(ネットで見つけた花嫁)についてのジョークや、ハリウッド映画の中でのアジア系女性の描かれ方にも、深刻な問題が頻繁にみられる。そしてアジア系女性は、それが原因で殺されている」と主張。この投稿にはこれまでに2万6000件を超える「いいね」がついている。

カリフォルニア大学のキャサリン・セニザ・チョイ教授(倫理学)は、今回の事件にを人種差別と無関係だと見なすことは、アジア系女性がアメリカで100年以上前から嫌がらせや暴力を受けてきたことを否定するのに等しいと考えている。

チョイはNBCニュースに対して、次のように述べた。「一人の男を誘惑するものを排除するためにアジア系米国人の女性たちを殺す行為は、アジア出身の女性やアジア系米国人の女性がモノとして見られてきた歴史を裏づけている。アジア系の女性たちは神秘的で魅惑的な存在や『蓮の花(色白で華奢な女性)』など、男たちの空想や願望に関連づけた価値しかない存在として見なされてきた。これは恐ろしいことだ。私たちをフェティシズムの対象にするのはやめて欲しい」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブルージェ

ビジネス

NY外為市場=ドル/円小動き、日米の金融政策にらみ

ビジネス

米FRBタカ派幹部、利下げに異議 FRB内の慎重論

ビジネス

12月に追加利下げの必要、労働市場の弱体化は明確=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中