最新記事

ミャンマー

国連安保理、ミャンマー国軍の抗議デモ参加者への暴力非難 追加措置などの文言は盛り込まず

2021年3月11日(木)10時49分

国連安全保障理事会は10日、ミャンマーでクーデターを起こした国軍による抗議デモ参加者への暴力行使を非難する方向で一致した。今後、声明文を正式に採択する。写真は10日、ミャンマー・マンダレーで行われた抗議デモ(2021年 ロイター/Obtained by Reuters from social media)

国連安全保障理事会は10日、ミャンマーの抗議デモ参加者に対する暴力を非難し、国軍に自制を促す声明を発表した。ただ、先月の軍事クーデターを直接非難したり追加措置を示唆する文言は、中国やロシアなどの反対で盛り込まれなかった。

声明は「女性や若者、子どもを含む平和的なデモ参加者に対する暴力を強く非難する」とし、「軍に最大限の自制を求め、安保理が状況を注視していると強調する」と表明した。

英国が作成した原案にあったクーデターに対する非難や追加対応の示唆は、中国、ロシア、インド、ベトナムの反対で削除された。

ミャンマー国軍の報道官はコメントの要請に応じていない。

国連のグテレス事務総長は安保理の声明によって、国軍に対し、拘束した全ての人を解放し、昨年11月の選挙の結果を尊重することが「絶対に必要」との認識を促したいと表明。クーデター前もミャンマーは「完全な民主主義」ではなく軍の支配力が強く、選挙の不正を主張してクーデターを起こしたのは理解し難いと語った。

ミャンマーの政治囚支援協会によると、2月1日のクーデター以降、治安部隊の弾圧でデモ参加者60人以上が死亡し、約2000人が拘束された。国営テレビのMRTVは著名な若者のデモ指導者の一部に逮捕状が出されたと報じ、指名手配された29人のデモ参加者の写真を映し出した。デモ隊は国際社会に保護と国軍への対応を求めている。

米政府は10日、ミャンマーの軍事クーデターを主導したミン・アウン・フライン国軍総司令官の子ども2人とその支配下にある企業6社を制裁対象に指定した。国軍による抗議デモ参加者への弾圧が続く中、圧力を一段と強めた。ラーブ英外相はツイッターへの投稿で、英国も追加制裁を検討していると明らかにした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ミャンマー国軍が「利益に反する」クーデターを起こした本当の理由
・ミャンマー軍政を揺るがすミルクティー同盟──反独裁で連帯するアジアの若者たち
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税の影響で

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中